2025年上半期のパフォーマンスを振り返る

・2025年も折り返しとなり、この半年間のパフォーマンスを振り返ると、金が圧倒的に良い。株式は新興国と欧州が好調で、直近では急激に日本株、米国株が後れを取り戻してきている。新興国では、東ヨーロッパや南米が堅調で、東南アジアは相対的に軟調となっている。米中のトピックが大きい中、その距離感から選好されている部分もあり、「米国離れ」が意識できる相場付きとなっている。

・債券については、円債以外はすべて米ドル建てのリターンを見ているが、大きく2つのグループに分けられる。1つがグローバルな債券で、もう1つが米国のもので、米国以外のもののパフォーマンスが良い。各国の債券が現地通貨である場合、米ドル建てに直したときに、米ドル安になっている分、リターンが出ているということもあるが、株式と比べて債券は安定的にリターンが出ている。

・ネガティブなニュースもある割に、株価は堅調である。タイミング的に4月、5月のデータを見ることになるため、関税の駆け込みや反動減なども大きいが、世界的には経済は堅調と言える。その中で、米国から資産を逃避させたいという向きが、前述のパフォーマンスにも出ているように思える。

・IMFの見通しの下方修正や、年初からの弱い見通しというのはすでに出ており、これからデータは弱くなってくるだろうが、それに関してもある程度織り込み済みと思われる。

貿易赤字の解消、外国人投資家のシェアの縮小

・貿易赤字とは、言い換えると相手国の黒字である。外国人投資家は、その黒字をまた米ドル資産に還流する。貿易赤字が解消されていくのであれば、当然外国人投資家のシェアもある程度減ることは想定され、米ドル資産買い意欲も減っていくだろうことは念頭に置くべきだろう。

・米国債については、海外投資家のシェアが35%近くになる。こちらも貿易赤字を解消していくと、米国向けへのフローを解消していくかもしれないことを想定しないといけない。ただし、各国の債券市場規模を比較すると圧倒的に米国の規模が大きいことがわかる。米国に投資していた分を他国に分散することを考えると、特に債券に関しては想定しづらい。

・構造的な「米ドル離れ」は、貿易赤字の解消とともに進むかもしれないが、債券、米金利に関しては急激に上がることは、マーケットの規模からして想定しづらい。

・米国において減税法案の審議が進み、財政悪化懸念がある一方で、タームプレミアムが落ち着き始めていることは、債券投資に関してはよいと思える。また、景気の鈍化基調を確認していくということになれば、金利には押し下げ圧力がかかってくるとみている。

・各国の格付けとCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を見ると、米国はトリプルB格並みにまで膨らんでおり、逆張り的に評価できる材料とは思える。

・かつて個人投資家に人気だったオーストラリアは、一番格付けが高いことに加えて、金利の絶対水準も高いため、米国以外の投資先として評価できるのではないか。