東京市場まとめ
1.概況
前日の米国市場にて主要3指数が揃って続伸した流れを引継ぎ、日経平均は113円高の38,904円と続伸で寄付きました。しかし、寄付き後は利益確定の売りや戻り待ちの売り等が出たことから、日経平均は前日終値である38,790円を挟んで一進一退の展開が続き、方向感を欠いた展開となりました。また、日銀の田村審議委員が「物価の上振れリスクにも留意する必要がある」との見解を示したことを受け、日銀による追加利上げが意識されてドル円相場では円高が進行しました。この影響もあり、日経平均は前引けにかけて下落に転じ、40円安の38,750円で午前の取引を終えました。
後場に入るとドル円相場で円の上昇が一服したことや、株価指数先物への買いが入ったことが支援材料となり、日経平均は次第に持ち直す展開となりました。14時34分に154円高の38,944円と本日の高値を更新し、その後は高値圏での推移となり、最終的には151円高の38,942円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が小幅に続伸、0.1%高で取引を終えました。
2.個別銘柄等
オリンパス(7733)は10.6%安の1,691.5円をつけ、大幅続落となりました。米食品医薬品局(FDA)は24日、オリンパスの日本で製造された医療機器の一部に対する輸入警告を発表し、同社の特定の製品は今後、日本から米国への輸入が差し止めとなることが明らかとなり、業績への悪影響を警戒した売りが膨らみました。
三井化学(4183)は3.7%高の3,259円をつけ、続伸となりました。プラスチックの原料となる基礎化学品フェノールの製造販売を手掛ける中国の持ち分法適用関連会社を売却すると発表し、採算が悪化していた事業の売却による構造改革により、将来の収益性改善に期待する買いが入りました。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は0.4%安の1,965円をつけ、反落となりました。本日日銀が6月開催分の金融政策決定会合の「主な意見」を公表し、足元の不確実性の高さから「政策金利は当面現状維持が適当」といった意見があったことが明らかとなりました。これを受けて市場では日銀が追加利上げを急がないとの見方が広がり、金利の先高観を背景に買われてきた銀行株は軟調な推移となりました。
名村造船所(7014)は一時ストップ高水準となる18.5%高の3,210円をつけ、年初来高値を更新しました。外資系証券が同社の投資判断を3段階で最上位の「買い」として調査を開始し、今後12ヶ月の目標株価は足元の水準を上回る3,700円としたことで、これを材料視した買いが入りました。
美容機器ブランド「ReFa(リファ)」などを手掛けるMTG(7806)は7.4%高の4,080円をつけ年初来高値を更新しました。アナリストは「リファの売り上げ拡大や美容室などを通じた商品の体験機会の提供、リピート商品の取り扱い店舗の増加に伴う売り上げを想定することなどにより業績伸長が見込まれる」と評価し、投資判断を3段階で最上位の「アウトパフォーム」、目標株価5,050円として新たに調査を開始したことがきっかけとなりました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は値がさ株の半導体関連銘柄が買われたことが指数の支えとなり続伸となりました。中東情勢を巡る緊張感にもひとまず落ち着きが見られ、日米ともにハイテク株の上昇が目立ちます。本日も上値では利益確定の売りが出たように、目先は39,000円付近での攻防が予想されます。
今週末に株主総会のピークを控える中、関連する企業動向や発表内容等が新たな買い材料となるかが注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)