【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 41,603.07  ▼256.02 (5/23)
NASDAQ: 18,737.21  ▼188.53 (5/23)

1.概況

先週末の米国市場では、主要3指数がそろって下落しました。トランプ大統領が6月1日よりEUに対して50%の関税を課す考えを表明したほか、アップル[AAPL]には米国内でiPhoneを製造しなければ最低25%の関税を課す考えを示したことで、リスクオフの動きが強まり、相場は下落しました。また、小売の個別企業では決算内容が嫌気されて売られた銘柄も目立ち、関税による小売企業への影響への懸念が改めて意識されたことも、相場の重荷となりました。一方で、4月の新築住宅販売件数が市場予想を上回ったことで景気悪化への懸念が一部和らぎ、下げ渋る場面も見られました。

ダウ平均は333ドル安で取引を開始すると、一時は505ドル安まで下げ幅を広げ、41,354ドルでこの日の安値を付けました。安値を付けた後は下げ幅を縮める展開となり、一時は70ドル安の41,788ドルまで回復する場面も見られました。しかし、取引終盤にかけて再び売られると、結局256ドル安の41,603ドルで取引を終え、4日続落となりました。

また、S&P500株価指数も39ポイント安の5,802ポイントで取引を終え、4日続落しました。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も188ポイント安の18,737ポイントで取引を終え、反落しました。

2.経済指標等

4月の米新築住宅販売件数は前月比10.9%増の74万3000戸となり、市場予想を上回りました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち4業種が上昇しました。なかでも、公益事業が1%以上上昇したほか、生活必需品やエネルギー、不動産が小幅に上昇しました。一方で、7業種が下落し、情報技術が1%以上下落したほか、コミュニケーション・サービスや一般消費財・サービスも1%近く下落しました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中10銘柄が上昇となりました。なかでも、シェブロン[CVX]とコカコーラ[KO]が1%近く上昇しました。そのほか、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]やベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、ウォルマート[WMT]などが小幅に上昇しました。一方で、20銘柄が下落となりました。なかでも、セールスフォース[CRM]とアップル[AAPL]は3%超下落しました。アップルは、トランプ大統領が米国外で製造されたiPhoneに25%の関税を課す可能性を示唆したことが嫌気されました。また、ナイキ[NKE]が2%超下落したほか、ウォルト・ディズニー[DIS]やビザ[V]、エヌビディア[NVDA]などが1%超下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、税務会計ソフトのインテュイト[INTU]が8.1%上昇して、S&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。同社は、第3四半期決算で市場予想を上回る売上高、EPS(1株当たり純利益)を達成したほか、ガイダンスで通期の業績見通しを上方修正したことが好感されています。また、トランプ大統領が新規原子炉の認可に関する規制を緩和し、原子力産業の活性化を図る大統領令に署名すると報じられたことで、原子力発電関連銘柄が上昇しました。ナノ・ニュークリア・エナジー[NNE]は30.1%高、オクロ[OKLO]は23.0%高、セントラス・エナジー[LEU]は21.6%高、ニュースケール・パワー[SMR]19.4%高となっています。

一方で、フットウェア・アパレルのデッカーズ・アウトドア[DECK]は、19.9%下落の大幅安となりS&P500株価指数構成銘柄の値下がり率ランキングでワーストとなりました。同社は、第4四半期決算で市場予想を上回る売上高、EPSを達成したものの、第1四半期決算で市場予想を下回る見通しを示したほか、現在の環境の不確実性の高さから通期の見通しを公表しなかったことが嫌気されました。また、低価格帯アパレルのロス・ストアーズ[ROST]は、第1四半期決算で既存店売上高が横ばいと減収予想を上回ったほか、EPSも予想を上回ったものの、在庫の50%あまりを中国製が占めているなか、第2四半期のEPS見通しが市場予想を下回ったことが嫌気され、9.8%下落しました。

5.為替・金利等

米長期金利は、前日から0.02%低い4.51%で取引を終えました。ドル円は、142円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

先週末の米国市場は、トランプ大統領がEUに50%の関税を示す考えを表明したことが相場の重しとなり、主要3指数がそろって下落となりました。この流れを受け、本日の日本市場も下落してのスタートが予想されます。

今週は、米国は26日がメモリアル・デーにより休場となるほか、国内は材料に乏しく、引き続き通商政策に関するニュースを受けた為替や長期金利の動向に神経質な展開となりそうです。また、米国では28日にエヌビディアの決算発表が予定されており、今後の相場の方向性を決める材料として注目が集まります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)