【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 42,051.06  ▼89.37 (5/14)
NASDAQ: 19,146.81  △136.73 (5/14)

1.概況

昨日の米国市場では、主要3指数は小幅に高安まちまちとなりました。米中関税の引き下げ合意の発表から貿易摩擦の緩和を期待した買いが続いた後で、小売売上高や生産者物価指数(PPI)などの主要経済指標を控えるなか、景気敏感株を中心に持ち高調整の売りが出ました。また、年内の利下げ期待の後退や長期金利の上昇が株式市場の重荷となったほか、トランプ大統領による薬価引き下げの影響が懸念される医薬品・バイオ株などの下落も目立ちました。

ダウ平均は9ドル高で取引を開始すると、一時114ドル高の42,254ドルまで上昇する場面も見られました。しかし、その後は軟調な展開となり、一時187ドル安の41,952ドルまで下落しました。ただし、半導体やハイテク株の一角への買いが相場を支えるなか下値は堅く、最終的に89ドル安の42,051ドルで取引を終え、小幅に続落となりました。

一方で、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は136ポイント高の19,146ポイントで取引を終え、6日続伸となりました。また、S&P500株価指数も6ポイント高の5,892ポイントで取引を終え、小幅に3日続伸しています。

2.経済指標等

先週一週間の米国の原油在庫は、345.4万バレルの増加となり、市場予想の215.0万バレル減少に反して増加となりました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は、全11業種のうち3業種が上昇となり、特にコミュニケーション・サービスが1%超上昇しました。また、情報技術が1%近く上昇し、一般消費財・サービスは小幅に上昇しています。一方で、8業種が下落となり、特にヘルスケアは2%超下落となりました。その他、素材や不動産、エネルギーなどが1%未満の下落となりました。

4.個別銘柄動向

昨日の米国市場では、ダウ平均構成銘柄は全30銘柄中10銘柄が上昇しました。特に、エヌビディア[NVDA]は、4%超上昇しました。また、ウォルト・ディズニー[DIS]やゴールドマン・サックス[GS]、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]が1%以上上昇しています。一方で、20銘柄が下落となり、特にメルク[MRK]は4%超下落しました。また、アムジェン[AMGN]は3%超下落し、スリーエム[MMM]やジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]、シャーウィンウィリアムズ[SHW]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]、ナイキ[NKE]は1%以上下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、米サーバー製造大手のスーパー・マイクロ・コンピューター[SMCI]が、15.7%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。同社は、サウジアラビアのデータセンター企業と200億ドル規模の提携契約を交わしたと発表したことが好感されています。また、本日もハイテク株は強く、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]は4.7%高、テスラ[TSLA]は4.1%高、アルファベット[GOOGL]は3.7%高、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は1.6%高となりました。

一方で、アパレルのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ[AEO]は、第1四半期決算の暫定決算で赤字転落を見込んでいると公表したほか、通期の業績見通しを取り下げたことが嫌気され、6.4%下落しました。また、バイオテクノロジー企業のグレイル[GRAL]は、第1四半期で増収、営業赤字縮小となったものの、市場予想には満たず、23.3%下落しました。

5.為替・金利等

米長期金利は、前日から0.08%高い4.54 %で取引を終えました。ドル円は、146円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

昨日の米国市場では、高安まちまちとなりました。こうしたなか、日経平均先物は夜間取引で下落し、500円安の3万7640円で取引を終了しており、本日の日経平均は心理的節目の3万8000円台を割込む展開が想定されます。また、日本市場は本日も決算発表が相次ぐ予定で、日本郵政(6178)やゆうちょ銀行(7182)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、第一生命ホールディングス(8750)などの決算が予定されています。

また、米国では4月分の生産者物価指数(PPI)の発表が予定されているほか、企業決算ではウォルマート[WMT]や半導体のアプライド・マテリアルズ[AMAT]、農業機械メーカー大手のディア[DE]の決算発表に注目が集まります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)