【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 39,593.66 ▼1,014.79 (4/10)
NASDAQ: 16,387.31 ▼737.66 (4/10)
1.概況
昨日の米国市場は、主要3指数がそろって大きく反落しました。前日に大幅上昇していた反動で売りが出たほか、相互関税は大半の国・地域で一時停止されたものの、90日間の停止後の措置などを巡り依然として不透明感が残っており、警戒感から売りが広がりました。また、米国政府が対中国への関税の税率が合計で145%になることを明らかにすると、米中貿易摩擦の激化懸念から売りが加速しました。一方、米下院が恒久的な減税を含んだ予算決議を可決したほか、トランプ大統領が激化している貿易戦争に終止符を打つために、中国と「ディール(取引)」を実現させたいと述べると、相場は下げ幅を縮小しました。
ダウ平均は611ドル安で取引を開始すると、下げ幅を広げていき一時2,180ドル安まで下落しました。その後、取引終盤にかけて下げ幅を縮めていくと、最終的には1,014ドル安の39,593ドルで取引を終え、反落となりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は737ポイント(4.3%)安の16,387ポイント、S&P500株価指数は188ポイント(3.5%)安の5,268ポイントで取引を終え、いずれも反落となりました。
2.経済指標等
3月の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比2.4%上昇となり、市場予想の2.6%上昇を下回って前月の2.8%上昇から伸びが鈍化しました。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも前年同月比2.8%上昇と、市場予想を下回り、前月の3.1%上昇から伸びが鈍化しました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち、生活必需品のみが小幅に上昇となりました。一方で、10業種が下落となり、なかでもエネルギーは6%超下落したほか、情報技術やコミュニケーション・サービス、一般消費財・サービスは4%超下落しました。また、素材は3%下落し、金融やヘルスケア、資本財・サービス、不動産は2%超下落しました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、全30銘柄中6銘柄が上昇となりました。特にユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が2%超上昇したほか、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]やコカコーラ[KO]、ウォルマート[WMT]が1%超上昇しました。一方で、24銘柄が下落となり、特にナイキ[NKE]は8%超下落となりました。また、シェブロン[CVX]は7%超下落し、ウォルト・ディズニー[DIS]は6%超下落、エヌビディア[NVDA]やアメリカン・エキスプレス[AXP]、メルク[MRK]、ゴールドマン・サックス[GS]、アマゾン・ドットコム[AMZN]は5%超下落となりました。
ダウ平均構成銘柄以外では、関税政策を巡る混乱から資産の逃避先として金価格が上昇しており、これを受け金鉱山大手のニューモント[NEM]は、4.5%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。そのほか、金鉱山会社のアグニコ・イーグル・マインズ[AEM]は5.4%高、バリック・ゴールド[GOLD]は2.3%高となりました。
一方で、テスラ[TSLA]はアナリストによる目標株価の引き下げを受けて、7.3%下落しました。また、ユナイテッド・ステイツ・スチール[X]は、トランプ大統領が日本製鉄(5401)による買収に批判的な発言をしたことを受けて、9.5%下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.09%高い4.42%となりました。ドル円は144円台半ばで推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は、昨日の米国市場が大きく反落した流れを引継ぎ、下落してのスタートが予想されます。こうしたなか、日経平均は3万4000円台を割り込み下げ幅を広げる展開が想定されます。なお、本日は良品計画(7453)や、イオン(8267)、ローツェ(6323)などの決算発表が予定されています。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)