物価への影響は一時的、実体経済への影響はこれから見極め

・今回の米国の関税政策により、米国の平均実行関税率は20%を超えてくる。そのため、前回トランプ政権時とは異なり、それなりに見方を変える必要がある。

・大きく分けて物価と経済への影響がある。物価への影響を考えると、関税を上げた年は前年比でみると物価も上がるが、2年目以降はその影響はなくなる。物価の影響は基本的に一時的であり、これをもって利上げということにはならない。一方、経済への影響を考えると、GDPへの下押し圧力は持続的である。不透明感の中で企業の投資行動が抑制される。

・VIX指数は大きく動いているが、BBB社債対10年スプレッドは大きな動きは見せていない。実体経済への影響はこれから見定める必要がある。

・株価は10%以上の調整を経て、50日程度は日柄調整となり、この期間が見極めのタイミングとなる。リセッションとなった場合、長期間のもたつきも意識する必要がある。米国株の週足が200週移動平均線を下回るとリセッションとなる。下回らず反発すればリセッションには入らない。リセッションを織り込むにはまだ値幅がある。

経済主体は健全、減税や中間選挙の行方も見極め投資を

・今回のマーケットの調整は金融危機によるものではなく、循環的なものでもない。人為的な要素が大きく、巻き戻しも容易と言える。また経済主体は家計、企業ともに健全であり、リセッション期間に入ったとしても長くはならないだろう。

・2025年後半にかけて減税や米国の中間選挙に向けた動きもあり、日柄調整の中で冷静に経済の行方を見極めることになる。S&P500が4,600ポイントに近づいたとき、打診買いをみられるタイミングになる。

・同じ日柄で米国総合債券指数の推移をみると、足元で安定しており、景気後退期に入ったとしてもパフォーマンスを提供してくれるものとなるだろう。この不安定な状況での債券投資は引き続き妙味がある。株式については日柄も含めマクロ経済に関する事柄をチェックしながら投資をしていく局面である。