・想定以上に米ドル安・円高が広がっている。日本時間4月3日にトランプ米大統領が相互関税を発表した時点から局面が変わり、米ドル/円は、一時142円割れ寸前まで下落した。

・米ドル/円と日米債利回り差のチャートを見ると、3月までの米ドル安・円高は金利差の縮小と連動していた。4月に入ると、金利差は拡大しているにもかかわらず、米ドル安・円高が広がる「米金利上昇=米ドル売り」という新局面となっている。

・この逆相関は米ドルに限ったことではない。ユーロ/米ドルにおいても金利差ユーロ劣位が拡大するのを尻目に、ユーロが急騰している。3月にドイツの財政政策が転換したことでドイツの10年債利回りが急騰し、この時点で米金利との連動は崩れているものの、その後金利は低下し、4月に入ると一段と下がっている。米国債が売られ、ドイツ国債が買われている可能性がある。これは市場参加者が対米投資を減らしている可能性がある。

・相互関税発表以降「悪い金利上昇」の理由として考えられるのは、中国の報復的な米国債売却だけでなく、官民問わず、対米投資引き上げ(レパトリ)もあるだろう。「米国売り」という新たな米ドル安リスクが出てきていることを認識する必要がある。

・米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジションを重ねてみると、米ドル/円の下落と、投機筋の米ドル売り・円買いが拡大する動きはきれいに連動している。過去最高の7万枚を超え、14万枚までと、かつてない空前の米ドル売り・円買いが広がっている。

・しかし、この円買いリスクはいつまでも続かないだろう。米国では、4月18日からはイースター休暇に入るため、市場参加者が減り薄商いになる。円買いリスクをとったまま休暇には入れないのではないか。ポジション調整のための米ドル買戻しはありえるだろう。