モトリーフール米国本社 - 2025年3月10日 投稿記事より
株主への利益還元を継続する2つの配当銘柄
不安定な市場において、配当株は投資家に安定感を与えることができます。パッシブインカムを生み出すだけでなく、増配実績のある企業は資本配分に規律あるアプローチをとることが多く、経済の不確実性をより効果的に乗り切ることが可能となります。S&Pグローバルの調査はこれをさらに裏付けており、一貫して増配を続けている企業は、投資家にとって魅力的な組み合わせである低ボラティリティでより高いリターンをもたらす傾向があることを示しています。
こうした利点を考慮し、ポートフォリオに追加する価値がある配当株をいくつか探してみましょう。
1.配当の増額と自社株買いを強化、エアキャップ・ホールディングス
エアキャップ・ホールディングス[AER]は、時価総額190億ドルの業界トップ企業として、同社の株価は過去3年間で2倍超になり、S&P500種指数を80%近く上回るパフォーマンスを達成しました。
エアキャップは、2024年に導入した配当を1株当たり四半期0.25ドルから、2025年の四半期配当を0.27ドルに増額すると発表しました。この調整により、同社の年間配当利回りは1.1%となります。
配当銘柄を評価する際に考慮すべき重要な要素の1つは、企業が配当を維持できるか確認するための配当性向(利益のうち配当に充てられる割合)です。一般的に、健全な配当性向は75%未満であり、経営陣は資本配分の柔軟性を確保できます。経営陣による2025年の調整後1株当たり利益(EPS)ガイダンスが8.50ドルから9.50ドルとなっていることから、エアキャップは通期で11%から13%の健全な配当性向となっています。
配当に加え、エアキャップの経営陣は自社株の買い戻しを矢継ぎ早に行っています。2024年には発行済み株式のうち16億ドル相当を買い戻し、株式数は7.8%減の1億8,680万株となりました。過去3年間にわたって、経営陣は発行済み株式の24%を買い戻しました。
さらに、同社は最近、新たに10億ドルの自社株買いプログラムを発表しており、株主は自社株買いの慣行が続くことが現実的に期待できることになります。エンガス・ケリー最高経営責任者(CEO)は最近、同社の自社株買いについて、「エアキャップ株式が今日持つ大きな価値と、2025年以降の見通しに対する自信をさらに強調するものである」と指摘しました。
なぜそれが投資家にとって重要なのでしょうか?発行済株式数と保有株式比率は逆相関にあり、つまり、企業の発行済み株式数が減少するにつれ、投資家の関心は高まるということです。
株価のバリュエーションに関しては、エアキャップは足元で、3年ぶりの高値である株価純資産倍率1.1倍付近で取引されており、これは同社の資産をわずかに上回る価格で取引されていることを示しています。しかし、資本配分に対する経営陣の株主重視のアプローチと前向きな見通しを考慮すれば、長期志向の投資家にとってこのプレミアムは法外なものではないでしょう。
2. 強力な国内拠点と輸出の優位性を持つキャタピラー
世界最大の建設機械メーカーであるキャタピラー[CAT]は、92年連続で配当を支払い、過去31年にわたって毎年増配してきました。現在、キャタピラーは1株当たり1.41ドルの四半期配当を支払っており、年率配当利回りは1.66%、配当性向は24.5%に相当します。
エアキャップと同様に、経営陣は利益のかなりの部分を自社株買いに充てています。過去3年間で、キャタピラーの発行済み株式は10.4%減少しました。
経営陣は、建設機械類・エネルギー・輸送(ME&T)のフリーキャッシュフローの「実質的にすべて」を、今後も株主還元策に充てる意向を表明しています。特筆すべきは、2024年にキャタピラーは94億ドルのME&Tフリーキャッシュフローを生み出しましたが、それ以上に配当と自社株買いを通じて103億ドルを株主に還元したことです。
経営陣の資本配分を超えて、キャタピラーの売上高は2023年の671億ドルに対し、2024年は648億ドルとわずかに減少しました。直近の四半期では、経営陣はこの減少を販売台数の減少によるものであると説明しています。これは、石油・ガス部門における最近の減速など、産業が自然なビジネスサイクルを経る中で予想される想定内の変動です。
2025年についてキャタピラーの経営陣は、2025年も売上高の減少が続くとの見通しを示していますが、ME&Tフリーキャッシュフローは年間50億ドルから100億ドルのレンジの上限に達すると予想しています。
キャタピラーにとって潜在的なリスクのひとつは、トランプ政権が貿易政策に対するスタンスを変え続けているため、関税をめぐる不確実性が続いていることです。この予測不能な事態は投資家に懸念を抱かせるかもしれませんが、ジム・アンプルビー最高経営責任者(CEO)は同社のポジショニングに引き続き自信を持っています。
「当社は世界的なメーカーですが、最大の製造拠点は米国内にあり、米国外には純輸出となっています。これにより、当社は多くの競合他社に対して優位なポジションに立っています」とアンプルビー氏は述べています。強力な国内拠点と輸出の優位性を持つキャタピラーは、関税関連の課題を乗り切るのに十分な体制が整っているようです。
最後に、キャタピラーのバリュエーションを見ると、フリーキャッシュフローに対する株価は19.3倍と3年ぶりの低水準で取引されており、株価が過小評価されている可能性を示唆しています。
配当株の共通点
両社は業種こそ異なりますが、重要な共通点があります。両社とも、短期的には売上高が伸び悩むとみられます。しかし、高い収益性を維持し、株価は妥当なバリュエーションで取引されています。
インカムゲインを求める人々にとってより重要なのは、両社の経営陣が配当の支払いと増配に意欲的であるとみられることです。そして、発行済株式数を減らし、低い配当性向を維持することができれば、それはより現実的なものとなるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Collin Brantmeyerはエアキャップとキャタピラーの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はS&Pグローバル[SPGI]の株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はエアキャップを推奨しており、以下のオプションを推奨しています:エアキャップの2027年1月満期の60ドルコールのロング。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。