【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 41,350.93 ▼82.55 (3/12)
NASDAQ: 17,648.45 △212.36 (3/12)
1.概況
昨日の米国市場は、高安まちまちとなりました。トランプ政権の関税政策への警戒感が引き続き相場の重荷となりました。寄付き前に公表された米消費者物価指数(CPI)は、予想以上に伸びが鈍化し物価の落ち着きを示したものの、関税の影響によるインフレ圧力の高まりが意識され、米長期金利も上昇基調にあることから積極的な買いの動きには繋がりませんでした。一方で、このところ下げが目立っていた一部のハイテク株には見直し買いが入り、指数を支えました。
ダウ平均は144ドル高で取引を開始しましたが、すぐにマイナスに転じ、一時423ドル安まで下落しました。安値を付けた後は下げ幅を縮めてプラス圏に戻る場面も見られましたが、引けにかけては再び売られ、結局82ドル安の41,350ドルで取引を終え、3日続落となりました。
一方で、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は212ポイント高の17,648ポイント、S&P500株価指数は27ポイント高の5,599ポイントで取引を終え、いずれも3日ぶりに反発となりました。
2.経済指標等
2025年2月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.8%上昇と市場予想を下回り、前月の3.0%から伸びが鈍化しました。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも前年同月比3.1%上昇と市場予想を下回り、前月の3.3%から伸びが鈍化しました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数は、全11業種のうち6業種が上昇となり、特に情報技術やコミュニケーション・サービス、一般消費財・サービスが1%以上上昇しました。一方で、5業種が下落となり、なかでも生活必需品が2%以上下落したほか、ヘルスケアが1%以上下落しました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、30銘柄中11銘柄が上昇しました。特にエヌビディア[NVDA]は6%以上上昇し、ボーイング[BA]も3%以上上昇しました。そのほか、セールスフォース[CRM]とアメリカン・エキスプレス[AXP]は2%以上上昇し、スリーエム[MMM]とアマゾン・ドットコム[AMZN]は1%以上上昇しました。一方、19銘柄が下落となり、特にプロクター・アンド・ギャンブル[PG]やウォルマート[WMT]、マクドナルド[MCD]、アムジェン[AMGN]が2%以上下落しました。また、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]、アップル[AAPL]など8銘柄が1%以上下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、テスラ[TSLA]が7.6%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。また、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]も7%以上上昇したほか、クラウドストライク・ホールディングス[CRWD]は5%以上上昇、オラクル[ORCL]やインテル[INTC]、サービスナウ[NOW]は4%以上上昇しました。一方で、肥満症治療薬などの製薬会社ノボ・ノルディスク[NVO]は、4.3%下落しました。競合のスイス製薬大手ロシュ・ホールディングスが、肥満症治療薬の開発でデンマークのバイオテクノロジー企業シェラン・ファーマと提携・ライセンス契約を締結したと発表したことが悪材料視されました。
5.為替・金利等
米長期金利は前日から0.03%高い4.31%となりました。ドル円は、148円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は、昨日の米ハイテク株高を受けて、上昇してのスタートが予想されます。特に、エヌビディアが6%以上上昇の大幅高となったことなどを受けて、フィラデルフィア半導体株(SOX)指数は2.5%高となっていることから、日本市場でも半導体関連銘柄の上昇が期待されます。
こうしたなか、日経平均は心理的節目の3万7000円台を回復後、その水準を維持して上げ幅を広げられるかが注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)