【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 41,911.71  ▼890.01 (3/10)
NASDAQ: 17,468.32  ▼727.90 (3/10)

1.概況

昨日の米国市場は、主要3指数が揃って大幅下落となりました。トランプ米大統領が週末のテレビインタビューで、米国の景気後退入りの可能性を明確に否定せず、政策の大幅修正で米経済は「過渡期にある」と発言したことなどを受けて、投資家心理が悪化しハイテク株を中心に売りが広がりました。

ダウ平均は294ドル安で取引を開始すると、終日売りが優勢となり、下げ幅は一時1,188ドル安まで広がる場面も見られました。引けにかけて下げ幅をやや縮めると、結局ダウ平均は890ドル安の41,911ドルで取引を終え、大反落となりました。

また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は727ポイント(4.0%)安の17,468ポイント、S&P500株価指数は155ポイント(2.7%)安の5,614ポイントで取引を終え、いずれも大きく反落となりました。

2.経済指標等

主要な経済指標の発表はありませんでした。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数は、全11業種のうち公益事業とエネルギーの2業種が上昇となり、公益事業は1%以上上昇、エネルギーは1%近く上昇しました。一方で9業種が下落となり、特に情報技術は4%以上下落したほか、一般消費財・サービスとコミュニケーション・サービスは3%以上下落、金融と素材は2%以上下落、資本財・サービスとヘルスケア、不動産は1%以上下落しました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では、30銘柄のうち、ベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]やスリーエム[MMM]、シェブロン[CVX]などの8銘柄が1%未満の上昇となりました。一方で、22銘柄が下落となり、特にエヌビディア[NVDA]とゴールドマン・サックス[GS]は5%以上の下落となりました。また、アップル[AAPL]やアメリカン・エキスプレス[AXP]、ウォルマート[WMT]、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]が4%以上下げるなど、多くの銘柄が大きく下落しています。

ダウ平均構成銘柄以外では、製薬会社のリジェネロン・ファーマシューティカルズ[REGN]が、同社の希少皮膚疾患向けの実験的治療薬「デュピクセント」の後期臨床試験が良好な結果となったと発表したことを受けて、5.3%上昇してS&P500構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。

一方で、テスラ[TSLA]は15.4%下落してS&P500株価指数の値下がり率ランキングでワーストとなりました。同社は、トランプ政権入りしたマスク氏への反発から、米欧を中心に不買運動が広がっていることを背景に、アナリストらが販売台数予測を引き下げたほか、カナダの首相候補だったフリーランド前副首相が同社を名指しで100%の報復関税の対象とすると発言したことも、売り材料となりました。その他相場がリスクオフの様相を呈するなかでハイテク株を中心に多くの銘柄が大きく下落しており、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は10.0%安、サービスナウ[NOW]とクラウドストライク・ホールディングス[CRWD]は7%超安、ブロードコム[AVGO]は 5.4%安、イーライリリー・アンド・カンパニー[LLY]やアルファベット[GOOGL]、メタ・プラットフォームズ[META]は4%超安となりました。

5.為替・金利等

米長期金利は前日から0.09%低い4.21%となりました。ドル円は、147円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

昨日の米国市場は、米景気や米政権による関税政策の不透明感からリスクオフの様相を呈し、ハイテク株を中心に売りが出て主要3指数は大幅に下落となりました。この流れを引継ぎ、本日の日本市場は下落してのスタートが予想されます。

こうしたなか、日経平均は心理的節目の3万7000円を割込み下げ幅を広げる展開が見込まれます。また、国内長期金利が上昇基調にあるなか、日経平均は引き続き金利や為替をにらみながらの展開となりそうです。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)