現状、NISA口座はどう使われているか

2024年からNISAは恒久化され、非課税投資枠も大幅に拡大されました。では、NISA口座で上場株式や投資信託を購入し、長期で保有する忍耐強い投資家は増えていくのでしょうか。まずは現状から確認してみましょう。

先日、金融庁から2024年12月末時点の「NISA口座の利用状況調査(令和6年12月末時点・速報値)が公表されました(対象はNISA取扱全金融機関)。

◎2024年12月末時点のNISA口座数:2560万4058口座
◎2024年の年間買付額:
 NISA口座全体:17兆4485億2714万円
 (つみたて投資枠:4兆9857億3131万円)
 (成長投資枠:12兆4627億9583万円)
*速報値。残高などの詳細は未公表。

2023年12月末のNISA口座数は2124万7420口座(一般NISA:1151万8713口座、つみたてNISA:972万8707口座)でしたので、1年間で435万6638口座増えたことになります。

また、NISAがスタートした2014年から2023年末までの買付額累計は35兆2538億6129万円(一般NISA:30兆7949億6980万円、つみたてNISA:4兆5488億9149万円)でしたので、2024年の年間買付額を加えると、累計買付額はおよそ52兆7023円となります。

資産所得倍増プランでは「5年間で、NISA総口座数の倍増 (1700万から3400万口座)、NISA買付額の倍増(28兆円から56兆円)」という目標が掲げられていましたが、このペースでいくと、買付額の目標56兆円は2025年には達成する可能性が高そうです。

今後、注目したいのは、①NISA口座を開設しただけでなく、買付も行われているか、②残高が積み上がっているのかという点です。

これまでのNISA口座では口座を開設したものの、買付額がゼロ(未稼働)の口座も結構ありました。例えば、2023年1月1日~12月31日中に一度も買付けがなかった口座の割合は一般NISAでは52.5%にのぼりました(2人に1人が買付をしていない)。つみたてNISAでも28%とおよそ4人に1人が未稼働という状況でした。

残高が積み上がっていくか

また、一般NISAがスタートした2014年から2023年12月までの一般NISAの買付額の累計は30兆7049億円。個人投資家によって、上場株式や投資信託が累計で30兆7049億円以上買われたことになります。

ところが、一般NISA口座の2023年末の残高は13兆円程度と増えるどころか、減っています。一般NISAの非課税期間が5年ということもあり、「短期の売りを誘発しやすい」「非課税期間終了時に新たなNISA非課税枠に移す(ロールオーバーする)ことはできるが、手続きを忘れると課税口座に払い出される」「制度導入当初、分配金をたくさん支払うタイプの投資信託が積極的に販売されていた」といったことが背景にあるものの、厳しい数値です。

つみたてNISAはどうでしょうか。制度が始まった2018年から2023年末までの買付額の累計は4兆9149億円。対して、2023年末の残高は5兆2106億円。こちらも、良好な相場環境にもかかわらず、残高はあまり積み上がっていません。

口座数や買付額が倍増しても、残高が積み上がっていかなくては、個人の長期の資産形成にはつながりにくいです。先日、ある投資信託の運用報告会を視聴していたところ、運用担当者の方が「インデックス投信でも、アクティブ投信でも、長期で持ち切れるかどうかが(資産形成の)カギ」というお話をされていましたが、その通りでしょう。

お金の行き先を意識できる”手触り感”と対話

そういう意味では、長期で「持ち続けられる」投資信託を選ぶことが大事になってきます。皆さんはどの運用会社の、どの投信なら長く持ち続けることができるでしょうか。

例えば、株式に投資する投資信託であれば、投資信託という器を通じて、どんな地域の、どんな会社にお金を投じているのか。どういう基準でその会社が選ばれているのか、中身はどうなっているのかなどを理解しておくことは、パッシブ・アクティブ問わず、大切です。

そのためには、適切な情報開示(目論見書、運用報告書、月次レポート)や受益者との継続的な対話が行われているとよいですね。短期的には価格が大きく変動することもあります。「人気だから」だけではなく、自分なりに調べて、納得した上で、保有し続けられる投信を選んで資産形成を続けていきたいものです。