インフレ警戒再燃にもかかわらず重くなる米ドル上値

トランプ氏が掲げる関税賦課は物価の上昇をもたらすとして、大統領選挙でトランプ氏優勢が強固なコンセンサスとなってきた2024年10月頃から米金利は大きく上昇、米ドル高が加速し、米ドル/円相場は2025年1月8日に158円台まで上昇しました。

2025年は再び160円台、170円台へと円安・米ドル高になるとの見通しが広がりましたが、トランプ大統領が就任した1月20日以降、米ドルインデックスは緩やかに下落しています。米ドル/円相場も2月7日に150円台まで下落しました。

1月雇用統計は失業率が4.0%まで低下、賃金上昇も確認される強い結果で、消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)も予想を上回る強い結果となりインフレへの警戒が再燃し始めているにもかかわらず、米ドルの上値が重くなっているのです。

足元のシナリオに変化が

マーケットには「ファッション」があります。その時々で核になる「テーマ」があるのです。これまで関税導入によって米国の物価は上昇し、米ドル金利が上昇するため米ドル高となるというシナリオが市場のファッションでした。しかし、足元ではこのシナリオが現在の主軸のテーマではなくなってきているようです。

イーロン・マスク氏率いるDOGE。DOGEの仕事の成果は少しずつ報じられていますが、政府支出の無駄を徹底的に洗い出し、歳出削減が実現すれば金利上昇は抑制されます。また、バンク・オブ・アメリカ[BAC]は2月12日、「米国が他国に対して関税を課すことで、他国が全報復措置に出るシナリオでは、米ドルは下落する可能性がある」と米ドル高にはならないとの見通しを示しています。関税によって米国経済が脆弱になるため長期的には米ドル安になるというのです。

移ろいやすいマーケットの「ファッション」

2月13日、トランプ大統領は相互関税導入の措置に署名、これを受けてユーロが急落する局面、つまり米ドル買いとなる局面がありましたが、これがトレンドとなる様子はありません。

関税を巡る報道では短期的に為替市場のボラティリティが急上昇、乱高下する局面はまだまだ続くと思われますが、かといって必ずしも米ドル買いになるという相場ではなくなっています。トランプ政権下では金利上昇、米ドル高になるとのファッションはすでに古くなっている可能性もあります。為替市場に取り組む際は、移ろいやすい市場の新たなファッションに乗り遅れない事が重要ですね。