米金利の下落をきっかけに株価上昇、大手金融機関の好調な決算結果も後押しに

先週(1月13日週)の米国株は、2024年11月の米大統領選挙後の急騰以来、最も好調な週となりました。12月の不安定な動きと年明けの低調なスタートを経て、ここ数日、ブルマーケットが力強く戻ってきています。先週、S&P500は2.91%、ナスダック100は2.85%上昇しました。マーケットの裾野も広がり、S&P500イコールウエイト指数は3.91%上昇、小型株指数のS&P1000は4.47%上昇しています。

株価上昇のきっかけの1つは金利の下落です。10年債利回りは先週13ベーシスポイント下落し、4.627%で引けました。金利下落の要因は、2024年12月の消費者物価指数(CPI)のコア指数が市場の予想を下回ったことです。このインフレデータは、FRB(米連邦準備制度理事会)が引き続き金融緩和政策を続けるとの期待を再燃させました。

加えて、大手金融機関の2024年第4四半期の決算が好調だったことも、投資家心理を後押ししました。事前予想を上回る決算を発表したジェイピー・モルガン・チェース[JPM]が先週8.04%上昇、さらに、シティグループ[C]が12.03%、ウェルズ・ファーゴ[WFC]が10.18%、ゴールドマン・サックス[GS]が11.78%とそれぞれ上昇しました。M&Aの助言業務や株式、社債の引き受け業務が堅調であったこと、金融市場のボラティリティが高まるなかトレーディングで収益をあげたことなどが、好決算の理由となっています。

トランプ氏の「大統領令」によってアメリカが大きく変わるか?

今週1月20日(月)はトランプ氏の米大統領就任式で株式市場は休場です。トランプ氏の大統領就任をもってアメリカが大きく変わるとみられています。

アメリカには、議会を通さず大統領の権限によって、法律の範囲内で行政機関に対し運営方法や政策実行などの指示をだせる「大統領令」があり、政府の運営において重要な役割を果たしています。トランプ氏は大統領就任式当日、100を超える大統領令に署名すると予想されており、これにより1日でアメリカをひっくり返す可能性があると言われています。移民問題をはじめ、エネルギー政策、電気自動車、さらに2021年1月に起きたトランプ支持者による米連邦議会議事堂襲撃事件への対応など、非常に多岐にわたる改革が予想されています。

金融業界や石油業界は規制緩和に期待、今週は決算発表にも注目

この大統領令の中で、金融市場が最も注目しているのが、規制の見直しや規制緩和です。具体的な施策として、規制撤回の手続きが進められる予定になっており、バイデン政権の下で施行された規制を次々と撤回していく方針が示唆されています。新たな規制の導入を抑制し、既存の規制を見直すことで、企業活動を活性化させることが目的です。

なかでも、規制緩和で恩恵を受けるのは、金融業界や石油業界です。関税については、一律の関税が施行されるのではなく、ターゲットを絞り、特定のセクターに対して関税を課すことが考えられます。これらの政策の発表が、経済や金融市場にどんな影響を与えるかに注目です。

加えて、今週は2024年第4四半期の決算シーズンが本格化します。決算発表が市場に与える影響はこれまで以上に大きくなっており、決算の結果がマーケットのボラティリティを高める可能性もあるでしょう。