2024年は高金利下でも米国株は上昇し、ゴールドも史上最高値を更新する躍進をみせました。そしてトランプ氏の大統領返り咲きでビットコインも史上最高値を更新しています。ゴールド上昇の背景は、米国の金利が高止まりする中で欧米の投資家がゴールド投資を手控えて、中国をはじめとする世界の中央銀行が、外貨準備における米国債などの米ドル資産比率を落とし、ゴールドを購入し続けたことが指摘されています。

中央銀行が保有する外貨準備とは、通貨当局が為替介入に使用する資金や、他国に対して外貨建て債務の返済が困難になった場合等に使用する準備資産で、自国通貨以外の債券、通貨などで構成されています。世界一の外貨準備を誇るのが中国、ついで日本。基軸通貨である米ドル比率が高いのが基本ですが、世界の中央銀行の米ドル保有比率は緩やかに低下を続けています。(それでも2023年3月末時点で59%は米ドルで圧倒的ですが)米国をはじめ世界の通貨供給量が拡張を続け、債務の膨張が続く限り通貨からゴールドへの資金シフトが続くだろう、というのが専門家の見方。

一方、ビットコイン上昇のエンジンはトランプ次期大統領によるビットコインの戦略備蓄制度の創設計画の示唆が大きいでしょう。戦略備蓄とは供給混乱などの危機が生じた場合、重要資源を放出し混乱を収めるための仕組みで、米国には石油の戦略備蓄制度があります。コロナ禍の反動でのエネルギー価格高騰時、バイデン政権はこの石油戦略備蓄を放出しエネルギー価格の抑制に動きました。放出して戦略備蓄の在庫が減少した分、現在は米国政府が石油を購入して在庫を積み上げています。中国などの石油需要が弱く原油価格は低迷していますが、一定水準を保っている背景に米国政府の石油備蓄補充のための購入が下値サポートとなっているとも指摘されています。この仕組みがビットコインでも適用されたら?これは大きなニュースですね。

今は世界の外貨準備に組み込まれている唯一のコモディティゴールドですが(故に無国籍通貨と呼ばれる)、将来的に外貨準備にビットコインを組み入れる動きでも出るようなら、ビットコインはさらに注目されると考えられます。足元ではグローバルマネーサプライの減少からビットコインの下落リスクが警戒されていますが、トランプ2.0で最も注目されるアセットでしょう。