この10年間で、ビットコインは信じがたい変化を遂げました。 私たちが事業を始めた2014年頃、その価格は1BTCあたりおよそ2万円。 それが2025年には1,600万円台の高値を付けるまでになりました。

もちろん、価格の上昇そのものがすべてではありません。 暗号資産という新しい概念が社会に広がるまでには、数々の出来事と、それを乗り越えてきた人々の努力がありました。

この激動の10年には、業界の基盤を根底から揺るがすような出来事が次々と起こりました。

最初の大きな転機は、2014年のMt.Gox(マウントゴックス)社の突然の経営破綻です。 この事件は、日本だけでなく世界中に衝撃を与え、後の資金決済法改正と暗号資産交換業登録制度の整備につながっていきました。

その後も、日本の暗号資産市場は大きな節目を迎え続けます。 暗号資産交換業の登録制度の開始、国家レベルでのハッキングとの攻防、ビットコインのネットワーク分岐(ハードフォーク)、Ethereumの登場とスマートコントラクトの普及、ICOバブルとその崩壊、DeFi(分散型金融)の台頭、NFTの急成長、そしてMetaが主導したLibraプロジェクトの挑戦と頓挫…。

いずれも、当時の空気を肌で感じていた私にとって、単なる「出来事」ではなく、毎日の業務や意思決定に直結するリアルな転換点でした。では、その最初の一歩はどのようなものだったのか。

次回は、Coincheck誕生前夜について振り返りたいと思います。