つみたて投資枠と成長投資枠、どう使い分ける?

NISAは2024年の制度改正によって、投資の幅が広がりました。それはよいことなのですが、特に投資未経験者の場合、かえって「どう投資したらよいのだろう?」と悩んでしまうこともあるでしょう。

そこで今回はNISAの3つの活用パターンをご紹介。投資未経験者の方は、まずは「活用法1」をまずは参考にしてみてください。また、「活用法2」「活用法3」では、コア・サテライト戦略を踏まえたNISAの活用パターンを紹介します。

活用法1:つみたて投資枠だけで生涯投資枠1800万円を使い切る

こちらは、インデックスファンドまたはバランスファンドへの積立投資を行い、生涯投資枠1800万円を使い切るという戦略です。つみたて投資枠の年間投資枠は120万円なので、「月10万円・15年間の積立投資」「月7.5万円・20年間の積立投資」「月5万円・30年間の積立投資」「月3万円・50年間の積立投資」などの戦略が考えられます。

仮に年5%で運用できた場合、50年後の資産総額は下記図表の通りになります。下記の場合、積立満了した後も売却せず、そのまま非課税運用を続けた場合と仮定して試算しています。

【図表】つみたて投資枠でフル活用する場合の例:投資元本1800万円を年5%・50年間運用した場合の比較
※月複利を想定して試算。1万円未満は四捨五入。積立投資をイメージするために作成しており、将来の運用成果を保証するものではありません。また、簡素化のために手数料および税金は考慮しておりません。
出所: (株)Money&You作成

年5%の運用が仮に50年間達成できれば、8000万円から1億5000万円とかなりまとまった金額になるとわかります。

年5%の運用を低コストで目指すとなれば、「世界株インデックスファンド」や「米国株インデックスファンド」になるでしょう。リスクを抑えながら、年3%前後の運用を目指したいのであれば、バランス型ファンドの「4資産均等型」「8資産均等型」のような選択肢が考えられます。

活用法2:投資信託とETFを活用してコア資産を作る

つみたて投資枠で世界株インデックスファンド、成長投資枠でETFに投資するという戦略も考えられます。

積立のしやすさ、再投資のしやすさを考えれば「投資信託」を選んだ方が良いのですが、より低コストのものを選びたい、定期的に配当金(分配金)に魅力を感じるのであればETFに投資するという選択肢もあります。

ETFの選択肢には、世界株ETFの[VT](ベンチマーク:FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス)、全米株ETFの[VTI](ベンチマーク:CRSP USトータル・マーケット・インデックス)、高配当株ETFの[VYM](ベンチマーク:FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス)、増配株ETFの[VIG](ベンチマーク:NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックス)などがあります。

成長投資枠における「生涯投資枠」は1200万円となっているので、つみたて投資枠で600万円分を投資信託に積立投資し、成長投資枠で1200万円分をETFに一括投資または積立投資という方法が取れます。

また、つみたて投資枠の部分を多くし、つみたて投資枠1200万円、成長投資枠600万円という戦略も考えられるでしょう。

活用法3:投資信託(つみたて投資枠)と個別株(成長投資枠)でコア・サテライト

これはつみたて投資枠でインデックスファンドやバランスファンド、成長投資枠で日本株や米国株などといった個別株に投資するという戦略です。

つみたて投資枠において月5万円・20年間積立投資(投資金額1200万円)を実践し、残りの600万円を成長投資枠で活用するというのが一案です。成長投資枠では年間240万円まで投資ができますので、タイミングをみながら一括投資をしても良いですし、ご自身なりに計画的に積立投資をしても良いでしょう。

個別株で買う銘柄は好業績銘柄をおすすめします。過去5期分+予想2期分の売上高及び営業利益の両者が右肩上がりで伸びているものをスクリーニングしましょう。

また、配当(インカムゲイン)狙いの個別株投資も選択肢の1つに挙がるでしょう。配当狙いであれば、米国株を選ぶのも1つの手です。米国株は年4回の配当が一般的ですし、配当金の高い「高配当銘柄」や配当金を毎年増やしている「連続増配銘柄」も数多くあります。

ただし、NISAで先述の米国ETFや米国株に投資をする場合、売却益・配当金にかかる国内課税は無くなりますが、配当金にかかる現地課税がある点には注意が必要です。(米国籍企業の場合は10%。ADRや米国市場に上場する非米国籍株式については、発行会社の国籍によって米国内での課税率が異なります)。なお、国際的な二重課税を調整する外国税額控除は使えません。

※2023年1月20日に公開した記事を2024年〇月〇日に一部内容を更新しました。