今週(9月27日~10月3日)の相場動向

相場回顧 BTC(ビットコイン):中東リスクと米国利下げ観測後退を受けて下落

ビットコインは、中東リスクが高まったことに加え、米国の大幅利下げ観測が後退したことによって、急速に下落した。

9月27日から30日にかけて、イスラエル軍が日米欧からの停戦要求を無視してレバノンやイエメンを空爆し、ヒズボラの最高指導者を含む多数の死者が出た。これにより中東地域での軍事的緊張が高まり、リスクオフの流れが強まったことから、ビットコインは売り優勢の展開となった。

また、パウエルFRB議長が講演でタカ派寄りの発言をしたことで、米国の大幅利下げ観測が後退し、ビットコインの下落に拍車がかかった。

10月1日にはイランがイスラエルに対して大規模な報復攻撃を行い、中東情勢の一層の緊迫化を背景に株式市場が下落。これに伴い、ビットコインもBTC=879万円(60,000ドル)付近まで下落した。この時、暗号資産市場全体においてもリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全資産として見られるビットコインのドミナンスが急上昇した。

石破新政権が発足し、デジタル相に自民党のWeb3プロジェクトチームを牽引してきた平議員が就任したことが話題になったが、相場への影響は限定的だった。

その後、米ADP雇用統計は市場予想を上回る結果となったものの、利下げ観測の後退を嫌気する見方もあり、ビットコインは売り買いが交錯する展開となった。

 

来週(10月4日~10月10日)の相場予想

BTC(ビットコイン)は中東リスクが懸念されながらも底堅い展開を予想

米国では、過度な利下げ観測が後退し、金利上昇傾向が強まっている。この状況下では、FOMC議事要旨でFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに慎重な姿勢であることが示された場合、株式や暗号資産の売りが短期的に強まる可能性がある。しかし、FRBが利下げ方針を維持する限り、相場が大幅に崩れるリスクは低いと考えられる。インフレ鈍化と雇用改善が続けば、米国経済のソフトランディング期待が復活し、リスク資産の買いが次第に強まると予想する。

一方で、中東情勢の悪化には引き続き警戒が必要である。イランによる大規模ミサイル攻撃を受けて、イスラエルがさらなる報復攻撃を仕掛ける恐れがあり、軍事的緊張が拡大するリスクがある。万が一、全面戦争に発展した場合はリスク回避の動きが強まり、ビットコインは一時的に下落する可能性が高い。しかし、ロシア・ウクライナ戦争時のように、国に依らない資産保全手段としてビットコインの需要が高まり、大幅な反発も期待される。

直近の価格レンジとして、上値はBTC=996万円(68,000ドル)、下値はBTC=850万円(58,000ドル)を意識する。