大規模景気刺激策の発表で9月下旬から中国株は急騰!
2024年9月2日~9月30日までの中国株の騰落率は、上海総合指数は+18.7%、香港ハンセン指数は+19.5%となっています。上海総合指数をみると、株価が急騰しているのは9月24日からとなっていますが、この日、中国政府は景気刺激策を打ち出しました。
中国人民銀行の潘功勝総裁は9月24日の記者会見で、銀行の預金準備率を50ベーシスポイント引き下げ、主要政策金利である7日物リバースレポ金利も20ベーシスポイント引き下げると発表。さらに2軒目の住宅購入時の最低頭金比率を15%と、1軒目購入時と同水準に引き下げる方針を示した上、既存の住宅ローン金利を平均で約50ベーシスポイント引き下げ、新規住宅ローン金利の水準に近づけるとしています。
また潘総裁は、低迷する株式市場を支えるための計画を明らかにし、1000億ドル(約14兆円)以上の流動性注入や、安定化基金設立の可能性があると述べました。証券会社、ファンド、保険会社が人民銀行の資金を利用して株式を購入できるようにするため、スワップファシリティを設立する予定だとも述べ、さらに上場企業や主要株主による自社株買い戻しや株式保有率の引き上げを支援するための再融資制度も創設すると発表しました。9月27日は上海証券取引所で午前の取引に遅延が発生しましたが、景気刺激策を好感した投資家からの大量の売買が原因であったとのことです。
中国の景気刺激策の裏に米国の利下げあり
今回の中国株の上昇は歴史的と言えるほどの急激な動きで、香港市場の出来高は連日過去最高を更新。本土市場も今年最大の大商いを連日続け、記録的上昇率となりました。香港市場に上場している多くのハイテク株は米国にも重複して上場しており、アリババ・グループ[BABA]やJDドットコム[JD]、EV関連銘柄の上昇は米国市場でも注目を集めました。
香港の主要指数である香港ハンセン指数ですが、9月23日~9月28日までの1週間の騰落率は+13.0で、これは1998年以来となります。売買代金は24日に2000億香港ドルを超えて今年最大となっていましたが、26日には2021年以来となる3000香港ドル台に、そして27日はさらに+47%増加し、史上初めて4,000億香港ドル台の中盤まで達しました。毎日大商いと大幅高で、ここまでの状況は過去に見たことのないレベルです。香港証券所を運営する香港交易及結算所有限公司(00388)の株価は9月23日終値~9月30日の終値で35.4%も上昇しています。
全体的な動向については銀行株などの国営大型バリュー株がメインの中国H株指数よりも、テンセント(00700)、アリババ(09988)、美団(03690)、JDロジスティクス (02618)、小米(01810)、百度(09888)などの属するハンセンテック指数が大幅上昇となっています。
これら中国のテック銘柄の株価が不振に陥ったのは2022年3月に米国が利上げに踏み切った頃からで、逆に2024年9月の米国の利下げが不振脱出のきっかけとなっています。香港の金利や通貨は米国と連動しており、金融政策の影響を色濃く受けます。米国がコロナ禍で利下げし、ゼロ金利政策を続けていた時期に香港のテック株が大幅上昇したこともありました。
今回の中国テック株も、9月18日に米国が利下げを行った翌日から上昇機運が高まり、そして前述の通り、9月24日に中国が大規模な景気刺激策を打ち出すと、さらに一段高となりました。その景気刺激策は金融緩和に加え、証券市場、不動産市場の下支えとセットになった大規模なもので、中国がこのような思いきった緩和策を取れたのも米国の利下げのおかげとも言えます。これまで米国の高金利政策によって、人民元安と高金利の米国への資本流出の懸念があったため景気減速でも思いきった緩和策を打ち出せずにいたわけです。
ともあれ、ようやく待ちに待った大規模な景気刺激策が出ましたので、年末に向けて中国株は堅調な動きが期待できると思います。