2024年12月から2025年1月6日にかけて、中国本土市場は大きく下落し、香港ハンセン指数は緩やかな上昇

2024年12月~2025年1月初めの中国株はまちまちの動きとなっています。2024年12月2日(月)終値~2025年1月6日(月)終値までの騰落率について、上海総合指数は-4.7%、香港ハンセン指数は+0.7%となり、中国本土市場は大きく下落し、香港ハンセン指数は緩やかな上昇となっています。中国本土市場と香港市場で大きな差が出たのは2024年12月中に中国本土市場は景気刺激策が発動されるのではないかとの期待感から比較的堅調な株価推移であったことに対し、香港市場はやや軟調な株価推移となっていました。そして、中国本土市場は12月31日(火)~1月3日(金)の期間に大きく下落しました。

上海総合指数が大きく下落した3つの理由

この要因はいくつかあると思います。まず1つ目は足元で発表された経済指標が振るわなかったこと。12月31日(火)に発表された中国国家製造業PMIは50.1となり、市場予想の50.2や前月実績の50.3を下回りました。そして、1月2日(木)に発表となったCaixin中国製造業PMIも50.5と市場予想の51.7や前月実績の51.5を下回りました。

2つ目の理由は「噂」です。具体的には「監督管理当局が上場企業に対して悪材料の公表をトランプ氏の米大統領就任の前に急ぐよう指導した」「保険会社が公募ファンドに大規模な償還を求めており、ファンドは現金を捻出するために株式などを売却する必要がある」「中国人民銀行が預金準備率の引き下げを延期する」といった噂が中国本土で拡散したのです。なお、中国証券監督管理委員会(CSRC)の王利報道官は1月2日夜にこれらの噂がすべてデマ情報であると否定しています。

3つ目の理由は季節的なアノマリーです。中国株のアノマリーの1つに「旧正月前の下落」というものがあります。中国の旧正月は旧暦のお正月ですので、年によって日付が変わります。2025年は旧暦の1月1日にあたる、春節が1月29日(水)となり、中国本土市場は1月28日(火)から2月4日(火)までが長期連休となります(香港市場は1月29日(水)~1月31日(金)の期間が休場)。この長期連休中にもしも何か大きな悪いニュースが発生しても、投資家は対処できませんから、旧正月前の株価がまだ調子が良い時に売って現金にした方が良いというアノマリーがあるのです。

もちろん、アノマリーですから、毎年必ずそうなるというわけではありませんが、政策期待が高くて比較的株価が堅調だった中国本土株で、前述の噂が飛び交う中で利益を確定する売りが出やすかったというのは考えられることと思います。

2025年も政策待ちの相場が続く見通し

中国の習近平国家主席が、2024年12月31日の夜に毎年恒例の新年の演説を行いました。中国経済は「上昇軌道にある」とし、政府には課題を解決するための幅広い国際協力関係があると語ったものの、特に強力なメッセージや政策に言及するようなことはありませんでした。

具体的な景気政策が出てくるのは旧正月明けの両会(毎年3月に行われる中国の国会にあたる全人代と全国政治協商会議)になるのではないか。そして、その間にも1月20日に発足する第二次トランプ政権からは追加関税などに関する厳しい政策が出てくる可能性がある、と多くの投資家が考えたのではないかと予想します。

もちろん、中国でも細かい景気刺激策は出ています。1月3日に国家発展改革委員会は、「両新」政策(大規模設備更新と消費財買い替え促進)の強化と拡大を表明。具体的には買い換え促進を目指す補助金の対象を現行の自動車や家電から広げ、電子機器などにも支給すると発表しています(詳細は追って発表するとしている)。

これを好感して家電銘柄やスマートフォン銘柄が買われているのですが、市場で待たれているのは中国経済全体に影響するような規模の大規模景気刺激策で、これがなかなか出てこない状況が続いています。2025年の中国株も引き続き政策待ちの状況が続くと思います。第二次トランプ政権の打ち出す政策、旧正月前のアノマリー、そしてその後の両会での政策が第一四半期のポイントと思います。