日経平均は、ブラックマンデーを上回る下げ幅へ

日米の金融政策への真逆の姿勢が一段と意識され、先週(7月29日~8月2日)は円買い・米ドル売りと日経平均先物売りが一気に強まりました。また、米主要ハイテク企業の決算への弱気反応や、米景気指標の悪化が主力株だけではなく、相場全体への売りに波及しています。

週明け8月5日の日経平均の下げ幅は4,451円まで拡大。1987年10月20日の「ブラックマンデー」時を上回り、歴代最大の下げ幅を記録しました。先週からの弱気心理を引きずる中、米7月雇用統計を受けて主要3指数が下落。米10年債利回りが急低下し、為替市場では米ドル安・円高が一段と進行し、先物主導を通じて下値模索の展開となりました。

下落幅や下落率に違いはありますが、「ブラックマンデー」と急落時の雰囲気はよく似ています。2024年3月までの上昇も異常でしたが、今回の下げの速さも異常です。ただ、8月5日は、「歴史的な下落」、「先物へのサーキットブレイカー発動」、「騰落レシオ(25日)は76.7%まで低下」、「主力株の数多くがストップ安」、「売買高急増」、「プライム市場全体のPBRが1.1倍台まで低下」、「米VIX指数(恐怖指数)が一時65台まで上昇」と、探せばまだありますが、陰の材料がかなり出揃いました。目先的にはリバウンドが期待できそうです。

案の定、8月6日の日経平均は3,000円を超える反発(8月6日午前10時10分現在)となりました。年金資金など大口投資家によるリバランスの買いが入った可能性が高いような主力株の動きでした。

日経平均は8月5日までの下げで、2023年10月に2番底を形成した水準に迫る展開となりました。週足では、52週移動平均線(35,932円8月5日現在)を下回り、一目均衡表では雲の下限(32,748円 同)を下回ってしまいましたが、週間の終値で雲の上限(35,189円 同)以上に戻せるかが焦点です。

月足では、36ヶ月移動平均線(30,954円 同)付近まで下落しました。ただ、勇気づけられるのは、2020年3月安値(16,358円)を起点として2023年1月安値(25,661円)を通る長期上昇トレンドライン上を保っていることです。ということは、まだ長期トレンドが上昇を保つ中での、短期的な調整と言えることです。

米主要指数は、波はあるも健全なる調整の範疇

さて、先週末までの米主要指数は、ハイテク株主体のナスダックが7月10日につけた史上最高値からの下落率が10%を超え、半導体株指数(SOX指数)は22%の下落率でした。

一方で、景気減速を懸念している割には、ダウ平均は7月17日につけた史上最高値からの下落率は3.5%程度、景気先行指数といわれるダウ輸送株指数は5.6%程度。世界の機関投資家がベンチマークとするS&P500は7月16日につけた史上最高値から5.6%程度の下落幅にとどまっていました。

8月2日の取引では、上記の指数のうち、ダウ平均とダウ輸送株指数は上昇基調にある75日移動平均線上で下ヒゲをつけて終え、S&P500は75日移動平均線付近で終えました。 

高値からの下落率や株価位置を見る限りでは、米国の景気減速懸念でバタバタするほどネガティブな動きではなく、健全なる調整の範疇だったと言えます。あくまでも、ハイテク株主体の下落であり、ハイテク株に偏った資産形成の崩れが一時的に他業態の銘柄にも弱い影響を与えているといったところでしょう。

8月5日の米主要指数は確かに大きく下げましたが、明らかに日本発の動揺が波及したとみられます。ダウ平均は陰線でしたが、ナスダックは陽線で抵抗し、半導体株指数(SOX指数)は2%弱の下げにとどまっていました。