【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 40,608.45 △2,962.86 (4/9)
NASDAQ: 17,124.97 △1,857.06 (4/9)
1.概況
昨日の米国市場は、主要3指数がそろって急騰しました。寄付き後は、トランプ政権の大幅相互関税に対し中国が報復措置を発表したため、貿易摩擦の激化懸念から下落となりました。その後、もみ合いが続いた後、午後にトランプ大統領が一部の国・地域を対象に相互関税を90日間停止すると表明したことを受け、世界経済の悪化に対する警戒感の後退から、相場は急反発しました。一時停止となる対象の国・地域は、米国に貿易交渉を持ちかけ、相互関税に対する報復措置をとらなかった国・地域とみられ、猶予期間中の相互関税を一律10%に引き下げるとしています。一方で、中国からの輸入品への追加関税については、125%に引き上げると、一段と厳しい姿勢を示しています。
ダウ平均は257ドル安で取引を開始すると、一時369ドル安まで下げ幅を広げました。その後はもみ合いの展開が続いた後、午後から取引終盤にかけて急反発となり、上げ幅は一時3,133ドル高まで拡大しました。最終的には2,962ドル(7.9%)高の40,608ドルで取引を終え、5日ぶりに急反発となりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は1,857ポイント(12.2%)高の17,124ポイント、S&P500株価指数は474ポイント(9.5%)高の5,456ポイントで取引を終え、いずれも大幅に反発となりました。そのほか、フィラデルフィア半導体株(SOX)指数は、18.7%高となりました。
2.経済指標等
原油在庫は前週比255.3万バレルの増加となりました。一方、ガソリン在庫は前週比160.0万バレルの減少となりました。卸売在庫の確報値は0.3%となり、市場予想の0.4%を下回りました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、11業種すべてが大きく上昇しました。情報技術は14%超の上昇となったほか、一般消費財・サービスは11%超、コミュニケーション・サービスは10%近く上昇しました。資本財・サービスと素材はともに8%超、金融とエネルギーは7%超、不動産は5%超、ヘルスケアと生活必需品は4%超、公益事業は3%超の上昇となりました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、全30銘柄の全てが上昇となりました。特にエヌビディア[NVDA]が18.7%高となったほか、ボーイング[BA]とアップル[AAPL]は15%以上上昇しました。また、アメリカン・エキスプレス[AXP]が13%超上昇したほか、アマゾン・ドットコム[AMZN]やウォルト・ディズニー[DIS]、ゴールドマン・サックス[GS]、ナイキ[NKE]が11%超上昇、マイクロソフト[MSFT]が10%超上昇しました。そのほかの多くの構成銘柄も大きく上昇しています。
ダウ平均構成銘柄以外も全面高となりました。特に、マイクロチップ・テクノロジー[MCHP]は27.1%上昇し、S&P500構成銘柄の中で値上がり率トップとなりました。その他もハイテク株を中心に大きく上昇し、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]は23.8%高、テスラ[TSLA]は22.7%高、パランティア・テクノロジーズ[PLTR]は19.0%高、インテル[INTC]は18.8%高、ブロードコム[AVGO]は18.7%高、メタ・プラットフォームズ[META]は14.8%高となりました。
一方で、S&P500構成銘柄のうち下落したのは9銘柄にとどまりました。下落銘柄のなかでも、ディスカウントストアのダラー・ゼネラル[DG]は、アナリストによる投資判断の引き下げを受けて1.9%下落し、S&P500株価指数構成銘柄の値下がり率ランキングでワーストとなりました。このほか、マーケットアクセス・ホールディングス[MKTX]、アメリカン・ウォーター・ワークス[AWK]、シービーオーイー・マーケッツ[CBOE]なども1%以上下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は、一時4.51%と2月下旬以来の水準まで上昇しましたが、結局前日から0.04%高い4.33%となりました。ドル円は、147円台半ばで推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は、トランプ大統領が相互関税の一時停止を表明し、昨日の米国市場が急反発となった流れを受けて、大きく反発してのスタートが予想されます。こうしたなか、日経平均先物は夜間取引で3,210円高の3万5,040円まで上昇して取引を終えており、日経平均も3万5,000円台まで回復が期待されます。
一方で、トランプ政権は5日に発動した一律10%の関税については維持するほか、報復措置を講じた中国に対しては関税を125%に引き上げる姿勢を示しており、関税政策を巡る不透明感は依然として残っています。このため、買い一巡後は伸び悩む展開も想定されます。
なお、本日は国内でファーストリテイリング(9983)の決算が発表されるほか、米国では3月の消費者物価指数(CPI)が公表される予定です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)