今週(5月31日~6月6日)の相場動向

相場回顧 BTC:米国で利下げ観測が高まる中、米国株とともに上昇

ビットコインは、米国で利下げ観測が高まる中、米国株とともに堅調に推移した。

5月31日にはDMM Bitcoinで580億円相当のビットコインが流出する事件が起こり、価格を下げる場面もみられた。しかし、国内暗号資産取引所のハッキングが相次いだ2018年当時と比較して暗号資産市場の時価総額が遥かに大きいことや、米国でETFを通じて大規模な資金流入が続いていること、DMM Bitcoinが即時に全額補償を発表したこともあり、相場への影響は限定的となった。

米国では5月のISM製造業景況指数や求人件数が低水準となったことを受けて利下げ観測が高まった。これにより米国金利が低下し、米国株とともにビットコインの買いが強まった。また、香港と英国に続いて、豪州でもビットコイン現物ETFの取扱いを開始し、各国における幅広い投資家の参入への期待が高まった。

このような中、S&Pとナスダックが史上最高値を更新し、ビットコインも現物ETFへの資金流入が加速してBTC=1,115万円(71,500ドル)付近まで上昇した。5月のISM非製造業景況指数が高水準となり、雇用統計を前に様子見ムードとなったが高値を維持した。

 

来週(6月7日~13日)の相場予想

BTCはFOMC次第で米ドル建ての史上最高値をトライするか

米国ではいよいよFOMCを迎える。直近の経済指標を踏まえて、パウエルFRB議長が利下げを支持する発言をした場合、相場はさらに上昇するだろう。一方、5月消費者物価指数(CPI)がインフレ長期化を示唆する結果だった時は、米国金利の上昇とそれに伴う売りに警戒が必要である。CPIが鈍化傾向だった場合も、パウエルFRB議長が利下げについて市場の楽観視を注意する可能性があり、利下げ観測の後退により売りが強まることも考えられる。

DMM Bitcoinの事件については、全額をビットコインで補償することが発表され、市場ではむしろ買い材料として捉えられている。また、米国、香港、英国、豪州とビットコイン現物ETFを取り扱う国が増えており、グローバル規模でさらなる資金流入が期待されている。このような中、米国株の史上最高値更新が続けば、投資家がリスクをとってビットコインを買いやすくなるため、米ドル建ての史上最高値をトライする可能性もあるだろう。

直近、上値として史上最高値付近であるBTC=1,154万円(74,000ドル)、下値として今月上昇前の底値付近であるBTC=1,061万円(68,000ドル)を意識する。