東京市場まとめ

1.概況

前日の米国市場にて主要3指数が揃って下落した流れを引き継ぎ、日経平均は657円安の33,951円で寄付きました。朝方のドル円相場が1ドル143円台前半と円高に推移したことも輸出関連株を中心に重荷となり、寄り付き後すぐに下げ幅は1,800円を超えました。米中貿易摩擦の激化が懸念され、9時45分に1,982円安の32,626円をつけ本日の安値を更新しました。その後は持ち直し、1,460円安の33,148円で前引けとなりました。

後場は下げ渋り、過度なリスク回避姿勢は和らぐ場面も見られました。33,200円を挟んで一進一退に推移する時間が続くも、14時半ごろから下げ幅を縮小すると、最終的には1,023円安の33,585円で大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数が2.9%高で続伸となりました。

2.個別銘柄等

独立系大手コンサルティングファームのベイカレント(6532)は一時13.5%高の7,671円をつけ、株式分割考慮後ベースでの上場来高値を更新しました。2026年2月期(今期)の当期純利益は前期比21.3%増の373億円を見込むとし、また年間配当は前期から38円増額となる100円と、増配も評価されたことで買いが集まりました。

ファーストリテイリング(9983)が2.0%安の45,530円をつけ反落となりました。10日、2025年8月期(今期)の当期純利益は従来予想から250億円の上方修正となる、前期比10.2%増の4,100億円を見込むとするも、米相互関税の影響から下期の業績を下方修正する等、ペースダウンや先行きの不透明感から売りが優勢となりました。

スギホールディングス(7649)は一時6.0%高の3,080円をつけ、株式分割考慮後ベースでの上場来高値を更新しました。10日、2026年2月期(今期)の当期純利益は前期比32.4%増となる340億円を見込むとし、市場コンセンサスを上回るガイダンスが評価され、買いが集まりました。

ソフトウェアテスト会社のSHIFT(3697)は2.4%安の1,178円をつけ4日ぶりに反落となりました。10日、第2四半期決算を発表し当期純利益は前年同期比50.7%増となる449億円、進捗率は56.9%と堅調な業績を発表するも、通期の見通しは据え置き、市場では上方修正が期待されていたこともあって売りがでました。

100円ショップ大手のセリア(2782)は1.4%高の2,916円をつけ4日続伸となりました。ドル円相場が一時1ドル142円台まで上昇し、半年ぶりの円高ドル安水準となり、円高メリット銘柄の位置づけから、採算改善を期待した買いが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は今週5営業日すべて、変動幅が1,000円を超えるボラタイルな動きとなりました。一方で、週間での騰落率は0.6%安で取引を終え、関税の不透明感から方向が定まらずにいます。大引け後の材料としては、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]やモルガン・スタンレー[MS]といった米銀大手の決算発表に注目が集まります。不透明感からガイダンスリスクも懸念される中で、ウォール街からどのような発信がされるかに注目です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)