東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて3日続伸となりました。260円高の38,645円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分で511円高の38,897円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと9時40分前に127円高の38,513円まで上げ幅を縮めました。
しかし、節目の38,500円を前に切り返すと上げ幅を広げ大引け間際に563円高の38,949円まで上昇し結局534円高の38,920円で取引を終えています。
一方で新興市場は安く東証グロース市場250指数が下落となり年初来安値を更新しています。
2.個別銘柄等
本決算を発表したリクルートホールディングス(6098)が一時9.6%高となり年初来高値を更新しました。足元で1兆1000億円規模のネットキャッシュを自社株買いやM&A(合併・買収)に充て、2026年3月期末時点で6000億円程度に圧縮するとしたことで大幅高となりました。
同じく本決算を発表した日本発条(5991)も一時12.9%高となり上場来高値を更新しました。ハードディスクドライブ(HDD)向け部品の販売が伸びると見込まれることなどにより2025年3月期の営業利益が前期比で15.4%増となる見通しを示し、市場予想を上回ったことから上げ幅を広げました。
日本ペイントホールディングス(4612)も一時5.9%高となりました。アジアで建築用塗料の販売が伸びたことなどにより第1四半期の営業利益が前年同期比で22.2%増となったことから買いが優勢となりました。
また、昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3%近く上昇したことから半導体関連株が高く、東京エレクトロン(8035)が一時5.0%高、SCREENホールディングス(7735)が一時3.4%高、アドバンテスト(6857)が一時5.1%高、ディスコ(6146)も一時4.3%高となりました。
一方で本決算を発表した日清製粉グループ本社(2002)が一時11.6%安となり年初来安値を更新しました。2025年3月期の営業利益が前期比でほぼ横ばいに止まる見通しで、市場予想を下回ったことから売りが膨らみました。
さらに円高を受けて自動車株が安く、トヨタ(7203)が一時2.6%安、日産(7201)が一時4.2%安、ホンダ(7267)が一時3.1%安、マツダ(7261)が一時4.9%安、SUBARU(7270)も一時3.0%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は534円高となりました。寄り付き前の8時50分に発表となった1-3月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は前期比0.5%減、年率換算で2.0%減と2四半期ぶりのマイナス成長となりましたが影響は限定的で、4月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を下回ったことを受けて利下げ先送りへの警戒感が後退し昨日の米国市場で主要3指数が揃って史上最高値を更新したことから大幅高となりました。朝方の買い一巡後には伸び悩む場面もありました。
しかし、引けにかけて上げ幅を広げると高値圏で取引を終え、このところ上値を押さえてきた一目均衡表の雲の下限(38,387円)や25日移動平均線(38,409円)、75日移動平均線(38,568円)を大きく上回りました。そのため明日以降の一段高への期待も高まりそうです。
なお、日本時間の21時30分に米新規失業保険申請件数や5月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の米輸出入物価指数などが発表されるほか、22時15分には4月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が発表される予定です。また、16日の米国ではアプライド・マテリアルズ[AMAT]やウォルマート[WMT]などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)