モトリーフール米国本社、 2024年5月14日投稿記事より

決算発表受け時価総額150億ドル消失

世界最大のコーヒーチェーンを運営するスターバックス[SBUX]は、最新の決算発表を受けて株価が急落し、時価総額は150億ドル近く減少しました。スターバックスのような業界を代表する企業が大きな打撃を受けた場合、賢明な投資家であれば反発の機会をうかがうでしょう。ここでは、スターバックスの最新の決算内容、経営陣による再建戦略、バリュエーションについて深掘りしましょう。

2回にわたる業績予想下方修正

スターバックスは先日、2024年度(9月期)第2四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比2%減の86億ドルとなり、客数の6%減が響きました。純利益は同15%減の7億7,200万ドル(前年同期は9億800万ドル)で、営業費用、減価償却費、一般管理費がいずれも増加しました。

ラクスマン・ナラシムハンCEOは、この四半期は「我々の予想通りにいかなかった」とコメントしました。会社は2024年度の売上高ガイダンスを前年比7~10%増から「1桁台前半」の伸びに下方修正しました。注目すべきは、今回の下方修正により、2024年度ガイダンスは当初の「10~12%増」から2回下方修正されたということです。一般的に、経営陣が2四半期連続で見通しを下方修正すると、将来の成長性に対する疑念の種をまくことになります。

深夜営業で売上増もくろむ

2024年3月末現在、スターバックスの世界の店舗数は3万8951店であり、前年同期比で6%増加しました。店舗の61%は中国と米国にあり、経営陣は中国について、「国民1人当たりの年間コーヒー消費量は、日本の280杯、米国の380杯に対し、中国はわずか13杯だ」と述べ、中国が将来の成長のカギを握る市場になると考えています。

さらに、スターバックスは、これまで営業していなかった深夜の時間帯に店舗を開ける試験も行っています。経営陣は、この試験プログラムによって業績が2倍になったと分析し、今後5年間で20億ドルの売上機会をもたらす可能性があるとみています。

13年連続増配、直近株価に割安感

スターバックスの成長ドライバーの開発には時間がかかるかもしれません。しかし、先見性のある投資家であれば、現在は大幅なディスカウントで取引されていて、長期的に市場をアウトパフォームする銘柄を買いたくなるでしょう。スターバックスのPER(株価収益率)は約21倍と、過去5年間の中央値である31倍を大きく下回っており、足元の株価が割安であることを示しています。

同社はまた、配当と自社株買いを通じて株主への資本還元を優先しています。13年連続で増配しており、現在の四半期配当は0.57ドル、配当利回りは過去最高に近い3.1%となっています。過去5年間に、発行済み株式数を約6%減らしており、株主の持ち株比率は高まっています。

中国市場は苦戦

売上高と利益の減少に加え、中国市場が同社に成長をもたらすという期待は誇張されている可能性があります。第2四半期の中国の既存店売上高は前年同期比11%減、平均客単価は8%減でした。なお、北米の既存店売上高は3%減、平均客単価は7%減でした。

もう1つの懸念材料として、スターバックス・リワード(ポイントシステム)の会員数が第1四半期の3430万人から第2四半期は3280万人に減少したことがあります。経営陣は直近四半期に売上高とスターバックス・リワードの会員数が減少した理由として、消費者の買い控えと悪天候を挙げています。

競合ダッチ・ブロス・インク[BROS]が伸長

スターバックスは依然として、コーヒー業界の世界的な市場リーダーであり続けていますが、競争は激化しています。例えば、ドライブスルーに特化したダッチ・ブロス・インク[BROS]は、米国でシェアを伸ばしています。2024年第1四半期の売上高は、前年同期比39%増の2億7500万ドルでした。加えて、経営陣が業績ガイダンスを外し続けているのは、需要が途絶えることがないにもかかわらず、事業を安定させるための答えを持っていないことを示しています。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Collin Brantmeyerは、言及されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はスターバックスの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。