2024年5月14日(火)8:50発表
日本 2024年4月の企業物価指数(速報値)

【1】結果:企業物価は概ね市場予想通りの結果に

【図表1】企業物価指数・輸出物価指数・輸入物価指数(2024年3月-4月)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

2024年4月の企業物価指数は、前年比の市場予想が+0.8%に対し+0.9%、前月比が+0.3%に対し0.3%で一致となる結果でした。企業物価指数については、概ね市場予想通りの結果と言えますが、輸出物価指数・輸入物価指数については4月後半にかけて円の急落があった背景から、円ベースでは上昇する結果となりました。

一方で、為替の影響を除いた財の価格変化を確認できる契約通貨ベースにおいては、輸出物価指数では3月と同水準、輸入物価指数では前年比で2.6%ポイント改善するも依然としてマイナス圏で推移しています。

【図表2】企業物価指数・輸出物価指数・輸入物価指数の推移(前月比%)
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:円安の影響が出るも輸入のエネルギー価格は下落傾向

企業の財価格は、4月から横ばいで推移しています。直近の円安動向から、輸出入の物価水準に注目が集まっていますが、円ベース前月比で輸出が+2.0%、輸入が+1.8%と、ドル円が4月の1ヶ月間で151円から157円へ約4%弱変動したことと比較すると、変動幅は落ち着いているようにも考えられます。

契約通貨ベースでは、輸入物価指数ではマイナス推移していることも注目です。前月比マイナスに寄与している項目を確認すると、石油・石炭・天然ガスが-0.32%ポイントと大きく下押ししました。石油・石炭・天然ガスは同前年比で-10.8%と、エネルギー価格は縮小傾向で推移しており、円安での家計逼迫が意識されるなか安心感を与える材料と考えられます。

【3】所感:企業の価格転嫁の動向に注目

企業の財価格については、2024年に入り前年比1%を切る水準(1月から4月の4ヶ月間において、平均+0.7%)で推移しています。日銀がターゲットとする2%の物価目標からは乖離があり、財価格への価格転嫁が進んでいない状況です。需要のステージ毎に物価の推移を比較した最終需要・中間需要物価指数(FD-ID指数)を見ると、最終需要(FD指数)と中間需要とされるID指数について4系列すべてで2024年は横ばい推移しており、川上から川下まで価格転嫁がなかなか進んでいないことが見て取れます。

企業が財に対し価格転嫁をできないとなると、賃上げにも影響することから、現状の水準以上の企業物価の底上げが必要と考えられます。

【図表3】FD-ID指数(総合)の推移
出所:Bloombergよりマネックス証券作成
※中間需要指数は、ステージ1(図表ID-1)が需要段階の川上、4に向かって川下へ。FD指数は最終需要指数

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太