高い期待値から重い展開になった日本株

米ドル/円の乱高下への警戒や、国内企業の業績見通しへの期待値低下などが日本株の上値の重荷となっています。3月までの日経平均やTOPIX(東証株価指数)の上昇で、相当に期待値が上昇していたことは確かです。株価上昇に刺激を受けたアナリストの業績予想や目標株価の上乗せ分が市場の期待値を高めた要因だとすれば、市場予想を下回る企業側の業績見通しに反応するプログラム売買によって叩き売られた株価はいずれ戻ってくるはずです。

ただ、増益基調を保っていて割安感が強調できる場合などでも、株価が一旦急落すると持ち直すのに時間がかかります。先週、TOPIX500(時価総額上位500銘柄で構成される)の下落率上位10位内に、今期が増益見通しながらも市場予想を下回っただけで叩き売られたのが5銘柄もあるという事態になっています。

日経平均が史上最高値を更新して日本株の注目度が高くなる中、株式投資に興味を持つ一般の個人投資家が増え始めています。プログラム売買の仕業でこんなに大きく動いてしまうと、株式市場が投機の場と化してしまい、個人投資家は手を出しづらくなります。決算発表シーズンを迎えるたびに、自動売買プログラムは高度化しているようにみえますが、最近では決算シーズン以外でも過度なプログラム売買の関与が気になります。

再び、米国の長期金利に注目

さて、国内企業の決算発表は5月15日で概ね一巡します。再び、米国の長期金利の動向に大勢の目線が戻ってくることになります。現在やや落ち着きを取り戻している長期金利ですが、まずは5月15日に発表される米4月消費者物価指数(CPI)に注目です。

市場予想を下回る結果で早期利下げ期待が高まれば、その後の経済指標の反応も利下げ期待を織り込む見方に変化し、主要3指数の史上最高値更新を後押しすることが予想されます。あとは、米ドル/円相場が落ち着きさえすれば、日経平均の上値の重さは解消されるはずです。

日米共に、半導体関連株が相場を変えるか?

先週末の東京エレクトロン(8035)で半導体関連の業績発表が概ね一巡しました。米主要指数の中で出遅れ感が強いフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の追い上げなども、決算呪縛が解けた日本の半導体関連には追い風になることが予想されます。

5月10日の米国市場で、SOX指数採用銘柄の中で時価総額2位のTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)[TSM]のADRが3月につけた高値を更新しました。

また、5月16日には世界最大の半導体製造装置メーカーであるアプライド・マテリアルズ[AMAT]が決算を発表予定している他、来週5月22日にはSOX採用で時価総額1位の半導体大手エヌビディア[NVDA]の決算発表が予定されています。3月につけた史上最高値(950.02ドル)まであと6%弱の水準に迫っており、高値更新に繋がった場合、相場の雰囲気はガラッと変わることが見込まれます。

(5月12日執筆時点)