モトリーフール米国本社、2024年5月6日投稿記事より

アルファベット[GOOGL]の競合他社よりも大きな優位性とは

数年にわたる弱気相場を経て、インターネット検索大手アルファベット[GOOGL]の株価は2024年に入って過去最高値を更新しています。先日も、堅調な決算報告を受けて株価が急騰し、同社の利益成長の勢いはとどまるところを知らないようです。

人工知能(AI)・コンピューティング・インフラに対する熱狂を背景とした今回の強気相場では、アルファベットは競合他社に対して大きな優位性を持っていると思われます。同社はすでに、広大なデータセンター群と通信ネットワークを通じて、世界トップレベルの強力なコンピューティング能力のインストールベースを有しています。AIを収益化する新たな方法(例えば、クラウド経由など)が切り開かれるにつれて、アルファベット株には2024年以降も大きな投資妙味があるかもしれません。

AIハードウェアに投資する潤沢な現金を保有

初の四半期配当を発表

アルファベットの2024年第1四半期売上高は、前年同期比15%増の805億ドルでした。それだけでも十分に素晴らしいことですが、さらに特筆すべき点は営業利益率で、2023年第1四半期の25%から、2024年第1四半期は32%に上昇しました。その結果、営業利益は同47%増の255億ドル、1株当たり利益(EPS)は同62%増という驚異的な伸びを記録しました。

これは株主にとって、多くの現金還元を意味します。アルファベットは長年にわたり、自社株買いを通じて余剰キャッシュを還元してきましたが、今回、初の四半期配当も発表しました。

・2024年第1四半期だけで157億ドルの自社株買いを実施し、これはアルファベットの時価総額の約0.8%に相当します。

・発表された四半期配当は1株当たり0.20ドルで、足元の株価で年率換算すると配当利回りはほぼ0.5%となります。

追加の自社株買いや増配はもちろんのこと、アルファベットは、世界中に広がるデータセンターをアップグレードし続けられるだけの十分な現金を生み出しています。

最近のアルファベットは、2つの巨大なコンピューティング・エンジンが動力源となっています。1つはGoogle検索と関連するGoogleサービス(主に広告を通じて収益を得ているYouTubeを含みます)です。もう1つはGoogle Cloud向けのデータセンター・ネットワークです。Google Cloudの多様な機能とその企業顧客は依然として増え続けており、同事業の第1四半期売上高は前年同期比28%増の95億7,000万ドル、営業利益率は9.4%(前年同期は2.6%)でした。

積極的に設備投資を実施

データセンターのアップグレードには大きな投資が必要です。エヌビディア[NVDA]からAIシステムを、アルファベットと長年の共同開発パートナーであるブロードコム[AVGO]からテンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)を購入しなければなりません。こうした半導体やAIシステムの購入は、設備投資費用として計上されます。アルファベットの第1四半期の設備投資費用は120億ドルに上り、前年同期比でほぼ倍増しました。

しかし、Google帝国はこれらの費用を十分に賄えるだけの利益を生み出しています。その上、同社のバランスシート上には現金および短期投資で1,080億ドル、さらに長期投資で340億ドルという資金があり、債務は132億ドルという状況です。

AI開発による収益性の向上が今後の鍵を握る

これらを総合すると、アルファベットは信じられないほど強力なコンピューティング能力のインストールベースを有し、優位性を維持するために投資し続けることを可能にする莫大な現金と素晴らしい四半期ベースのフリーキャッシュフローがあるということです。AI競争が過熱し、投資家がAI開発による確実な利益を求めている現在の市場において、アルファベットには明らかな優位性があります。

前四半期時点の最新予想に基づくと、足元の予想株価収益率(PER)は22倍となっています。決して割安ではありませんが、データセンターのコンピューティング能力に投資し、それを収益性の向上につなげるアルファベットの能力を考えれば、長期的にポートフォリオに加える価値があると思われます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Nicholas Rossolilloは、アルファベット、ブロードコム、エヌビディアの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアルファベット、エヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はブロードコムの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。