5会合連続で政策金利は据え置き、GDPやコア物価が上方修正
現地時間3月20日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利は5会合連続で5.25-5.5%に据え置かれました。また声明文では一部言い回しの変更があったものの、ほぼ前回と同じ内容となりました。
3ヶ月に1回の経済予想は以下の通り示され、GDPが上方修正されました。
同時に公表された物価見通しは、2024年のコア物価が上方修正されました。
政策金利、2025年以降の見方は大きく分かれる
そして、FRB当局者による政策金利の見通しです。以下中央値になりますが、前回同様に2024年内は3回の利下げが予想されています。一方で、2025年及び2026年の見通しは前回から引き上げられました。長期見通しも0.1%上がっています。
FOMCメンバーの政策金利見通しと市場予想は、2025年まで概ね同様の見方となっています。ただ、当局者の予想は2024年3回利下げ予想が中央値ながら、3回未満の利下げ予想が多く、2025年以降の見方も大きく分かれています。
市場の反応は株高・金利低下・ドル安に、今後は物価の動向に注目
一部では利下げ見通し後退も予想されたため、見通しの維持となったFOMC直後の市場反応は株高・金利低下・ドル安となりました。その後の会見では、パウエルFRB議長は最近のインフレ上振れデータについて特に重視せず、年内のある時点で利下げに踏み切る方針に変わりが無いことを示唆しています。また、バランスシートの縮小方針も維持されましたが、金融市場のストレスへの配慮から、かなり早期に縮小ペースを減少させるとしています。
成長や物価の見通しが上方修正されたものの金融政策スタンスは維持され、会見でもハト派色が強くなり、株式市場に歓迎される流れとなりました。2024年は大統領選挙を控えていますが、利下げを要求する議員の声も目立ち始めています。景気堅調・株高ながら金融政策は引き締めから景気配慮型に変化していきますが、前回は一時的として見誤った物価が今後着実に落ち着くのか注目されます。