政策金利は市場予想通り0.25%引き下げ

現地11月7日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会、日本の金融政策決定会合に該当)が開催され、政策金利は市場予想通り0.25%引き下げられました。前回の0.5%引き下げに続いて、2会合連続で利下げとなりました。

公表された声明文は、労働市場の状況が年初から軟化している点に触れたものの、前回から大きな変更点はありませんでした。その後の会見で、パウエルFRB議長は「時間をかけてより中立的なスタンスに移行していること、その中で今回の調整は経済と労働市場の現況を保つ支えとなり、インフレの進展をも可能にする」と述べました。

パウエルFRB議長、米大統領選は当面の金融政策決定に「何ら影響しない」

なお、米大統領選に関しても質問が出ていましたが、当面の金融政策決定に何ら影響しないとし、財政政策についても判断には時期尚早として多くは触れませんでした。また、次回会合での政策決定はデータ次第で、利下げは肯定も否定もしないとしています。

経済指標は全般に予想を上回る堅調さを示しており、労働市場の緩やかな軟化に先手を打つ形で引き締め気味の金利を中立に戻すプロセスが継続しています。また、これらは市場の期待通りの動きでもあり、会合後の市場の反応も落ち着いたものになりました。市場との対話を上手く進めた政策のかじ取りがなされています。

「中立的な金利水準」に戻して景気をサポート

現在、12月の政策金利は0.25%の利下げが75%程度織り込まれており、今後のデータによって調整されるものの、2025年に向けても中立的な水準に金利を戻すことで景気をサポートするスタンスは変わらないでしょう。ただし、現状の景気の堅調さが維持されれば、また今後の財政政策次第では、金利引き下げ幅は限定的になるでしょうし、2025年以降の金利引き下げについての市場予想は利下げ幅が縮小しています。

FRBは政策金利2.9%を長期見通しとしていますが、絶えず議論されている中立的な金利水準は明確ではありません。ただし、市場では現在3.6%程度まで利下げが見込まれているように、当面は政策金利に引き下げ余地があり、金融当局の景気支援スタンスが継続することが期待されます。