モトリーフール米国本社、2024年2月20日投稿記事より
株式ポートフォリオは3,700億ドル
ウォーレン・バフェット氏は、1965年にバークシャー・ハサウェイ[BRK.B]の経営権を取得しました。以降、同氏の投資哲学であるバリュー志向により、バークシャー・ハサウェイは驚異的なペースで成長し、株価はS&P500指数の2倍の複利リターンを上げました。現在、バークシャー・ハサウェイの企業価値は7,800億ドルに達し、その大部分は3,700億ドルに上る株式ポートフォリオによるものです。
バフェット氏をはじめとする投資マネジャーは、ポートフォリオの51%を2銘柄に集中投資しています。1つはアップル[AAPL]で、全体の45%を占めます。もう1つはコカ・コーラ[KO]で、全体の4番目に当たる6.4%を占めます。この資産配分は明確な自信の表れと言えるでしょう。
アップル[AAPL]は利益率向上
アップルは、売上高と利益の面で世界のスマートフォン市場を支配しています。2023年には初めて、出荷台数でサムスン電子を抜いてトップに躍り出ました。タブレット、スマートウォッチ、パーソナルオーディオデバイス(AirPodsなど)の分野でも市場のリーダーであり、パソコンの出荷台数でも世界第4位に位置しています。こうした実績は、圧倒的なブランド力の賜物です。
アップルは、魅力的なハードウェアと特許を取得したソフトウェアを組み合わせることで、デバイスを追加するほどに魅力が増す、楽しいユーザーエクスペリエンスを生み出しています。また、半導体チップを自社設計することで、コストを管理し、他社にはないユーザーエクスペリエンスを生み出す能力を強化しています。結局のところ、消費者は喜んで、アップル製品に高い値段を支払っているのです。調査会社インサイダー・インテリジェンスによると、iPhoneの平均販売価格は、Androidスマートフォンの2倍もします。
アップルの2023年10-12月期(2024年9月期第1四半期)決算は全体的に好調で、売上高と純利益の両方で市場予想を上回りました。売上高は前年同期比2%増の1,195億ドルで、そのうちiPhone売上は同6%増、サービス収入は同11%増でした。一方で、GAAPベースの希薄化後1株当たり利益(EPS)は同16%増の2.18ドルとなりました。これには、自社株買いと、サービス事業の力強い成長により粗利益率が290ベーシスポイント(2.9%)上昇したことも寄与しています。サービス事業はハードウェア事業よりも利益率が高いため、サービス収入が売上高全体よりも速いペースで成長すると、アップルの利益率はますます上昇するのです。
しかし、第1四半期決算発表では、重大な欠陥が1つだけありました。中国の売上高が13%減少し、アップルが苦戦しているという懸念が高まったのです。実際のところ、ジェフリーズによれば、競合の華為技術(ファーウェイ)や小米集団(シャオミ)のスマートフォン売上は好調で、アップルは2023年に中国でのシェアを落としました。投資家はこの状況を注意深く見守る必要があります。中国はアップルの売上高全体の約20%を占めています。
今後について、ウォール街はアップルの利益が年率8.6%で成長すると予想しています。このコンセンサス予想に基づくと、足元の株価収益率(PER)28.6倍は割高に見え、押し目買いを待つという考え方もあります。ただし、バフェット氏はそうは思わないでしょう。
コカ・コーラ[KO]は62年連続増配
コカ・コーラは世界最大のノンアルコール飲料会社であり、社名にもなっているコカ・コーラはもちろんのこと、ダイエット・コーク、ファンタ、スプライトといった炭酸飲料ブランドが有名です。同社は、事実上すべての地域で炭酸飲料市場を支配しており、近年ではシェアを伸ばしています。同社は炭酸以外のノンアルコール飲料でも存在感があります。
例えば、コーヒーの「コスタ」、ボトルウォーターの「ダサニ」、ジュースの「ミニッツメイド」、スポーツドリンクの「パワーエイド」などです。また、エナジードリンクの有力ブランドであるモンスター・ビバレッジ[MNST]との販売契約から手数料を得ています。将来的には、新興国市場を中心に炭酸飲料事業の成長も見込まれますが、他の分野でも市場シェアを獲得する機会は大いにありそうです。
コカ・コーラの2023年第4四半期の業績は堅調で、価格決定力と販売数量の伸びを背景に、売上高は前年同期比7%増の108億ドルでした。特に中南米とアジア太平洋地域の新興国市場での成長が顕著でした。非GAAPベースの営業利益率は180ベーシスポイント(1.8%)上昇し、非GAAPベースEPSは同10%増の0.49ドルとなりました。
経営陣は今後の業績について、売上高が年率4~6%、EPSは同7~9%で成長すると予想しています。この予想に基づくと、足元のPER 24倍は妥当から割高の水準と言えるでしょう。
この点から考えると、コカ・コーラが長期的に市場をアウトパフォームするかどうかは確信が持てません。同社は過去3年、5年、10年の期間で市場をアンダーパフォームしてきました。しかし、株価よりも配当を重視するインカム投資家にとっては、検討に値する銘柄でしょう。コカ・コーラは62年連続で増配しており、配当王と呼ばれるエリート集団の一員です。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Trevor Jennewineは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、アップル、バークシャー・ハサウェイ、モンスター・ビバレッジの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。