米ドル/円 週間予想レンジ:148.50~151.00

メインストラテジー:レンジの上限を確認した公算

・日米金利差の拡大があっても151円手前までの上昇は限界に近い
・高値圏でもレンジをなお保つ見通し

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週の米ドル/円相場は続伸し、一旦150.90円の打診をもって強気変動の継続を示唆した。もっとも、150円関門の打診ありという見通しは、これまで繰り返し解説してきた通りであるため、同大台のブレイク自体はサプライズではなかった。その半面、一気に151円手前まで急伸しているが、目先としては高値追いも避けたほうがよいだろう。

米金利の切り返しで日米金利差は拡大してきた。しかし、金利差だけで151円近くまで上昇した米ドル/円の値動きを説明することはできない。言い換えれば、米ドル/円は、日米金利差以上の上昇幅だった。

テクニカルの視点では、年初来の強気変動が一貫して継続しており、2月安値の水準が145円後半に留まったことが大きなポイントだった。なにしろ、それは1月5日の「スパイクハイ」の高値が示した元抵抗の水準であったため、調整変動の終焉があれば、内部構造の強さを示唆する存在であった。

そして、実際はその通りの展開となった。2月2日の大陽線は前後の日足に比べ値幅が拡大していたため、事実上の「長大線」となったわけだ。その後上放れがあり、保ち合いの終焉を示し、一段と上値余地を拡大し、「倍返し」の計算では、151円手前までの上昇があっても一応許容範囲内だった。

しかし、より長いスパンで考えた場合、2023年高値を更新していく、というシナリオには同意できない。米ドル/円の長期スパンにおける8年サイクルの制限がなお有効であれば、2023年の高値をもってすでにトップアウトし、今後2、3年の反落周期が想定される。

言い換えれば、目先では強気変動が維持されているが、ここから上値余地が大きく拡大しない限り、むしろそろそろ限界が来ており、今週にも再度頭打ちのサインが形成されてもおかしくないだろう。このような見方が正しければ、現在形成している「インサイド」のサイン(2月13日の陽線を母線とする)は、今後上放れよりも下放れの蓋然性が高いとみる。

とはいえ、頭打ちのサインなしでは安易な戻り売りを避けたいところだ。歴史的な転換点において、何らかの材料なしではすぐに変動してくれない可能性も大きいため、しばらくは高値圏での保ち合いを維持できるだろう。性急な判断や行動を避けたいところである。

円売りに歯止めをかける材料、可能性として警戒しておきたいのは日銀の政策変更だと思う。景気後退の懸念があるものの、日銀のマイナス金利解消が予想より早く実施される場合、一気に円売りポジションの解消を迫る形となってくるだろう。このあたりバランス感覚も重視しながら、丁寧にフォローしていきたい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:97.50~99.00

メインストラテジー:上放れの勢い、上値追いも

・レンジの上限を突破
・今回こそ本格的な上放れ
・上値追いも豪ドル/円相場の一手となるか

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続伸した。さらに、98.28円の高値打診をもってレンジ変動が終焉し、すでに上放れを果したことを示した。そのため、今週は場合によっては高値を追っても良い時期となり、高値更新を有力視している。

なかなか豪ドル/円は98円の大台を突破できずにいた。そのため、2月最初の週まで、ロング筋の力尽くしが観察され、一気に急落していた。また、ロングポジションの狼狽決済をもたらしたとも推測された。

しかし、2月1日の日足自体が典型的な「スパイクロー」のサインを点灯し、年初来安値を更新しただけに、その大引けが高く、「フォールス・ブレイクアウト」の可能性を暗示していた。その後の切り返しも順調で、また先週98円関門のブレイクをもって予想より早期に強気変動への復帰を示し、前述のサイン(フォールス・ブレイクアウト)の蓋然性を証明した。

従って、上値トライの後ずれがあったものの、上値志向自体が維持される、という当方のロジックが証明され、また中段保ち合いの延長や再構築があったからこそ、上値トライ自体が一段と上昇モメンタムの増加や上値ターゲットの上方修正に繋がる。

言い換えれば、前述のフォールス・ブレイクアウトのサインが本物である以上、豪ドル/円の騰勢はこれからも続き、またさらなる上昇モメンタムの強化に繋がる。そのため、一気に100円心理大台の打診もあり得るだろう。ここではあえて保守的な上値を提示しているが、基本的には強気変動の再加速で、上値を追う展開も予想しておきたい。

そもそも豪ドル/円の回復ぶりは常に想定より早かった。2023年12月7日に急落し、一旦94円を割り込んだのは、米ドル/円の変動につられた値動きだった。大きく反落しただけに、基調が一旦「崩れ」、回復に時間がかかると思われたが、実際は想定より早期に回復し、強気構造を暗示していた。このような構造も目先の値動きによって証明されたことから、大きな視点で見ると整合性があったと言える。

実際のところ、2023年12月の急落があっても200日移動平均線の上に位置し、大局観として豪ドル/円は随分紆余曲折があったものの、総じて強気構造を維持してきた。この意味合いでは、やっと上放れした状態であるため、今後ロングのチャンスを見逃せない。

1月高値の水準(97円後半)が一転してサポートゾーンと化す場合、いわゆる「押し目待ちに押し目なし」のリスクさえあると思う。言い換えれば、先週の上放れが本物なら、今週では大した調整なしで上値更新を果たす公算が大きい。