日本時間の昨晩、IMFが四半期に一度の世界GDP見通しを発表しました。目をひいたのは、米国の成長率予想の大幅引き上げです。前回昨年10月の1.5%から2.1%に0.6ポイントも上方修正しました。前々回7月時点の予想は1.0%だったので、半年で2倍以上に引き上げられています。新NISAで米株投資を増やした方々には朗報でしょう。
因みに日本は0.1%引き下げの0.9%成長で、修正前は、今年は米国との距離が縮まると予想されていましたが、再び引き離されました。
こうしたIMFの予想はどの程度信頼できるのでしょうか。民間エコノミストの予想より良い点は、大幅修正をそこまで恐れないこと。多くの証券アナリストにとっては、外部評価が死活問題ですから、前の予想は間違っていたと公表することで評判を落としたくないという強い誘因が働きます。早めに修正した方がいいのはわかりつつ、新しい予想だって当たるかどうかわからないし、真実が判明する前にリストラ対象になる可能性すらあるので躊躇してしまいます(因みに、アナリスト予想のクセについては、昨日のピクテのレポートでも触れていますので、ご興味があればご参照いただければと思います。)
これに対し、IMFなどの国際機関の予想は、もちろん心理要因の関与はゼロではないかもしれませんが、比較的冷静かつ中立な予想と思われます。米見通しのこれだけ急速な上方修正は、やはり注目しておくべきでしょう。
では、アメリカ経済はなぜそんなに強いのでしょうか。IMFは個人消費の想定以上の強さを挙げます。コロナ禍の超過預金はほぼ底を尽きつつありますが、MMFは急増、賃金も底堅いです。クレジットカードの借入額も力強い増加が続いています。今後更に注目したいのは、米国株の上昇や住宅価格の復調です。これらの資産効果も加味すると、今後さらに上方修正されるかも、という印象です。
今夜はFOMCです。こうした景気の強さについて、ひいては利下げのタイミングについて、パウエル議長からどんな発言が出るのか、要注目です。