10年ぶりにシンガポールを訪れる機会を得ました。これまで、仕事に絡む出張というと米国でしたが、今回はとある目的がありシンガポールへと向かうことになります。
アジアの優等生として知られているシンガポールは、人口約580万人で日本と同じ島国です。経済の規模でこそ日本より小さいですが、世銀による2022年の1人当たりのGDPは日本が33,800ドルに対し、シンガポールは82,800ドルと日本を遥かに超えています。2007年に初めてシンガポールが日本を抜いてから、その後格差は拡大する一方です。
シンガポールの所得税は0%から始まり、320,000シンガポールドル(およそ3,550万円)以上の所得で最高税率が22%と、やる気のある労働者にとっては非常に魅力的な環境となっています。
そんなシンガポール、昔訪れた時には安い国だというイメージがあったのですが、今日ではあらゆるものが高く感じます。
私の知っている10年前のシンガポールドルの為替レートが63円ですから、現在の111円ですと、為替だけで76%も割高となっています。加えて、過去10年の年間平均2%といわれるインフレも加味すると高く感じるのは当たり前です。今年5月に訪れたアメリカの1ドル135円も高いと思っていましたが、高いのはアメリカだけではありません。日本もインフレでものの値段が上がっていますが、為替が高くなった海外のものの値段と比べるとまだまだ日本は割安であるというのは、日本を訪れる様々な国からやってきた外国人の意見ですね。
アメリカへ行った時には日本人が貧乏になったと感じましたが、同じような感覚をシンガポールへ行っても覚えました。主に為替のせいではあるのですが、このまま円安が続くと豊かだった日本人の立場はどうなるのかと不安に思ったところです。
シンガポールには、アジアで時価総額9番目の株式市場があります。シンガポールの株式市場の時価総額はおよそ57兆円です。国際金融センターとしての役割を果たしていると言われているシンガポールですが、MSCIシンガポール指数のセクター別のウエイトを見てみると、金融セクターが半分近くを占めています。
世界の主要株価指数が下落した2022年に4%上がっていた同指数ですが、今年に入ってからはこれまで4.5%下げています。タイ、マレーシアなどの他のASEAN諸国の株価指数が今年軒並みマイナス圏で推移していることを考えるとこの国の株価だけが売られているわけではありません。
では、シンガポール株のバリュエーションはというと、シンガポールST指数のデータが入手できた2008年からこれまでの平均PERは14.6倍ですが、来年のEPSを使うと現在のバリュエーションは約10倍、2025年の予想EPSを使うと9.5倍と歴史的に見てかなり割安な状況であり、指数の配当利回りも5.4%と米国10年債を超えるレベルとなっています。
なお、肝心の今回のシンガポール訪問の「とある目的」なのですが、これは日本でも有名な投資家であるジム・ロジャーズさんとのインタビューを行うためでした。ロジャーズさんとの、インタビューの様子は今後マネックス証券のオウンドメディア「マネクリ」にて紹介していく予定ですのでお楽しみに。