米ドル/円 週間予想レンジ:147.50~150.50

メインストラテジー:レンジ取引

・米ドル高一服でも円買いはなしか?
・オーバーボートでも当面強気
・転換点の後ずれはほぼ確実

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週続伸し、週足では再度陽線を形成、7月半ば以来の1本調子の上昇を果たした上、149.74円までの上昇があっただけに、オーバーボート(買われ過ぎ)の極みを示唆した。そのため、当面強気の基調を維持できることを示し、米ドル全体の一服があっても円が積極的に買われないことは確かだろう。いずれ相場の転換点がくるだろうが、150円関門に巡る攻防で、タイミングの後ずれを引き続き覚悟しておきたい。

もっとも、7月半ば以来、日足では大型「上昇ウェッジ」に近いフォーメーションの形成も確認できるが、先々週の日銀政策維持もあって先週の高値更新に繋がったことから、今週一旦150円関門のトライがあっても自然の成り行きだとみている。

一方で、当局による強い介入示唆があって、投機筋も躊躇せざるを得ない状態となっており、当面は高値圏にて拮抗し、レンジ変動の様子を深める、という基本的な見方は変わらない。米長期金利の高騰で米ドル買いが当面優勢になりやすく、円を積極的に買う向きが少ないことは確かである。

とはいえ、米ドル全体はかなり買われ過ぎの段階にあり、すでに終盤に差し掛かっている、という判断は維持したい。150円大台の打診があっても一時的なものであり、それ以上の維持があれば、当局の介入はもはや避けられないと推測され、投機筋の動向が気になるところだが、当局に対抗できるとは思わない。

さらに、円売り自体、中国の景気後退懸念や人民元安につられた側面も強かった。米ドル指数全体が頭打ちされない限り、米ドル/円が先に反応するわけにはいかない。そのため、当面強含みの変動に留まる、というメインシナリオが想定される。高値圏での保ち合いは、9月20~22日形成された「Ioi」のサイン、そしてその後の高値再更新を重視すれば、一段と高値更新があると思われ、やはり一旦150円関門以上の打診があっても許容範囲内と言える。

9月29日罫線の「スパイクロー」のサインは、しっかりした支持ゾーンの存在を暗示し、安易な反落が阻止されることも示唆している。言ってみれば、当局の介入自体は円安のスピードを牽制しやすいが、絶対水準として150円大台までが許容範囲内なのでは、という思惑が強く、一旦大台乗せを覚悟しておきたい。

日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化自体は円売りの材料ではなかった。しかし、目先としては日本の事情が無視され、米ドルの頭打ちなしでは円が買われることはない、という大原則を再度強調しておきたい。もちろん、介入があれば、相場の大波乱もあり得るため注意が必要である。

豪ドル/円 週間予想レンジ:96.00~99.00

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・上放れを再確認
・新たな強気変動へ
・年初来高値に照準

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週大きく続伸し、一旦97円関門直前まで打診した。先週のコラムで解説した通り、豪ドル/円は横這いのレンジを形成しながら、上値志向を保ってきたため、これから新たなレンジ変動を形成してくと推測されたわけで、先週の高値トライをその結果、また一環とみている。

なにしろ、7月に96円関門前後で抵抗を確認、また7月28日の「スパイクロー」のサインが示した究極な底打ちがあって、その後93円関門前後の支持を確認できたところで大きなレンジを形成してきた経緯があった。

その理由は、8月第2週の切り返しにより、陽線で大引けをしたことにある。同週の値幅こそ限定的だったものの、底割れ回避という意味では大きな存在感を発揮し、これからの均衡状態を作り出した。

さらに、8月最初の週は、一旦95.86円をトライしたものの、一転して大幅反落し、週足では「スパイクハイ」の大陰線を形成した。7月最終週の週足ではより値幅の大きい大陰線を形成したことから「インサイド」のサインが形成され、先々週の高値トライは、同「インサイド」の上放れを示唆する値動きとして重視されたことから、強気変動の継続を有力視したわけだ。

そのため、先週の97円関門直前までの高値打診は、想定範囲内よりも若干弱いと思うほど自然な成り行きであった。言い換えれば、週足における大型「インサイド」のサインの形成と上放れがやっと確認され、また強気変動の一環を証明したことから、本来さらなる上値の打診があってもおかしくなかった。

理論上では、96円大台以上の維持で98~99円といった新たなレンジの上限をトライできる上、年初来高値の更新も射程範囲内に収まるだろう。押し目待ちに押し目なし、といったリスクを覚悟した上で、今週は高値追いもあるかもしれない。