モトリーフール米国本社 – 2023年9月26日 投稿記事より

主なポイント

・優良配当株は、長期にわたって市場を上回るリターンを生み出すことが多い
・イーライリリー・アンド・カンパニーとノボ・ノルディスクは、堅実な配当性向と力強い成長見通しを備えた優良配当株である

株価は割高だが、それだけの価値がある配当銘柄

安定的に配当を支払い、しかも増配している優良企業は、ポートフォリオのリターンを高めてくれる非常に優れた投資先です。得た配当金を再投資することで複利の恩恵を受け、長期的に資産を増やすことができます。

今日紹介する配当銘柄は、大手製薬会社のイーライリリー・アンド・カンパニー[LLY]とノボ・ノルディスク[NVO]です。両社とも、過去数年間に驚異的なリターンを実現しており、今後数年間超の成長見通しも有望です。割高なバリュエーションとなっていますが、これらの一流配当銘柄が依然として検討に値すると考える理由を説明します。

イーライリリー・アンド・カンパニー[LLY]:価値を生み出す大手企業

イーライリリー・アンド・カンパニー(以下、イーライリリー)の株価は右肩上がりに上昇しており、過去36ヶ月で269%という驚異的なリターンを記録しています。同社は、アルツハイマー病や肥満に対する画期的な医薬品の臨床試験が投資家の間でも大きな話題となっており、株価は2023年に過去最高値を更新しました。しかし、長期にわたる株価上昇に伴ってバリュエーションはかなり割高な水準に押し上げられており、株価収益率(PER)は76倍超と、大手製薬会社の中でも最も割高な水準となっています。とはいえ、イーライリリーは間違いなく、グロース投資家にとってもインカム投資家にとっても、これほどのバリュエーションに対するプレミアムを払うだけの価値があると言えます。

イーライリリーには、足元の勢いを長期的に維持できる、極めて強固な製品ポートフォリオと臨床パイプラインがあります。近年では、糖尿病治療薬のMounjaro、Jardiance、Trulicity、乾癬治療薬のTaltz、乳がん治療薬のVerzenioなど、新たな成長ドライバーとなる複数の製品を発表しています。また、後期開発パイプラインでも、アトピー性皮膚炎治療薬のLebrikizumab、免疫疾患治療薬のMirikizumab、アルツハイマー病治療薬のDonanemabといった、大型新薬となり得る複数の製品の開発が進行中です。さらに、同社は先頃、バーサニス・バイオを19億ドルで買収し、収益性の高い肥満治療の分野でも優位に立てる可能性があります。

イーライリリーの足元の配当利回りは0.82%と控えめで、同業他社平均の3.3%を大幅に下回るだけでなく、決して高いとは言えないS&P500指数全体の平均1.4%と比べても見劣りします。しかし、配当利回りの低さは、持続可能性という面で十分に補って余りあるはずです。配当性向は58.7%という極めて妥当な水準にあり、また売上高は2024年に16.6%の増加が見込まれることから、イーライリリーの配当は大型株の中でも最も安全な部類に入ります。

ノボ・ノルディスク[NVO]:糖尿病と減量におけるリーダー

デンマークのノボ・ノルディスクは、糖尿病と肥満の分野における世界的リーダーであり、時価総額は約4080億ドルに上ります。同社は、インスリン、糖尿病治療薬、減量薬といった幅広い製品を提供しています。イノベーションへの取り組みや、急成長中の新興国市場への進出により、一貫して増収増益を続けています。

株価も好調で、収益性の高い肥満市場へのエクスポージャーが後押ししています。過去3年間に、ノボ・ノルディスクは配当込みで260%近いリターンを上げ、同期間のS&P500指数のトータルリターン(39.4%)をはるかに上回っています。

しかし、ノボ・ノルディスクの配当利回りは、それほど高くはありません。同社の配当は年2回で、足元の配当利回りは年率換算で1.13%です。同社は増配実績も非常に控えめで、過去5年間の増配率は年平均でわずか7.6%にとどまります。しかし、配当性向は41.5%と低く、2024年には2桁の売上成長が見込まれることから、同社の配当は長期的に持続可能とみられます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者George Budwellは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はノボ・ノルディスクの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。