【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 34,721.91 ▼168.33 (8/31)
NASDAQ: 14,034.97 △15.66 (8/31)
1.概況
米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は利益確定の売りに押されて5日ぶりに反落となりましたが、ナスダック総合株価指数はハイテク株の一角が堅調で5日続伸となりました。18ドル高でスタートしたダウ平均は、7月の米個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想と一致したことや、アトランタ連銀総裁が金融政策はすでに十分に引き締め的だとの見解を示したことで、金融引き締め長期化への警戒感が後退し朝方に179ドル高まで上昇しました。しかし、利益確定の売りが出て買い一巡後に伸び悩むと昼過ぎにマイナスに転じ下げ幅を広げる展開となりました。結局ダウ平均は168ドル安の34,721ドルで取引を終えほぼ安値引けとなっています。また、S&P500株価指数も7ポイント安の4,507ポイントとなりました。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は15ポイント高の14,034ポイントとなっています。
2.経済指標等
先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比4000件減の22万8000件となり悪化を見込んでいた市場予想に反して改善しました。8月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も48.7と前月から上昇し市場予想も上回りました。さらに7月の米個人消費支出(PCE)も前月比0.8%増となり市場予想を上回っています。また、7月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比3.3%上昇と前月から伸びが加速しましたが市場予想と一致しました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数も前年同月比4.2%上昇と前月から伸びが加速したものの市場予想と一致しています。一方で7月の米個人所得は前月比0.2%増に止まり市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が下げ、ヘルスケアと公益事業は1%以上下落しました。一方で一般消費財・サービスや情報技術などの4業種が上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では決算が市場予想上回ったセールスフォース(CRM)が3%近く上げたほか、スリーエム(MMM)も2%以上上昇しました。インテル(INTC)も1%を超える上昇となり、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)とシスコシステムズ(CSCO)も1%近く上げました。一方でユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が3%安となり、ボーイング(BA)も2%余り下げました。アメリカン・エキスプレス(AXP)とジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、JPモルガン・チェース(JPM)、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)、メルク(MRK)、コカ・コーラ(KO)も1%以上下げています。ダウ平均構成銘柄以外では、半導体株が堅調でウエスタン・デジタル(WDC)が6%近く上昇し、ブロードコム(AVGO)も3%以上上げています。マイクロン・テクノロジー(MU)も2%を超える上昇となっています。1ドルショップのダラー・ゼネラル(DG)は決算が市場予想を下回ったことで急落し12%余り下げています。
5.為替・金利等
長期金利は0.01%低い4.10%となりました。ドル円は145円台半ばで推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は昨日の米国市場でダウ平均が下落となった流れを受けて軟調なスタートが予想されます。今晩に米雇用統計の発表を控え様子見となりやすいなかで日経平均が下げ渋り底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)