米ドル/円 週間予想レンジ:144.50~147.50

メインストラテジー:戻り売り

・上昇ウェッジの限界
・買われ過ぎの限界
・転換点に接近

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週高値を再度更新し、146.41円で大引けした。今週は、大幅続伸できるかどうかが焦点となってくるだろう。

もっとも、先々週高値トライした後やや反落してから大引けし、週足では「スパイクハイ」のサインを点灯していた。先週高く大引けしたこと自体、続伸の公算が高いと思われるが、素直にいくかどうかが今週の焦点になるのではないか。

なにしろ、米ドル全体はかなり買われ過ぎの段階にあり、すでに終盤に差し掛かっている。この段階において、市況はテクニカル上の示唆と逆行しやすいため、注意が必要である。

もっとも、米長期金利の上昇に伴う米ドル全体の切り返しとリンクした側面が大きかった上、中国の景気後退懸念や人民元安につられた円売りのほうが一段と盛んになったという実情もあった。ただし、先週のコラムでも解説したように、すでに限界を果たした可能性が大きい。

先週と同様、高値再更新はしたものの、7月安値を起点とした「上昇ウェッジ」のフォーメーションはむしろ強化され、その限界を再度達していたと見られる。ここから大幅な上値余地が拡大しない限り、むしろ頭打ちされやすいかと推測される。

米インフレの高止まりが懸念材料である上、米ドル全体の買われ過ぎは、やはり夏枯れ相場における事情もあったかと思われる。薄商いだからこそ、買われ過ぎというのか、オーバーした値動きになりがちである。この視点において、今週一時147円台半ばまでのトライも想定しておきたいが、145円関門以上が定着しない限り、反落してくることも想定される。

大きな視点としては、やはり米ドル全体(米ドル指数)との連動、というポイントである。同指数は7月18日から一貫して切り返してきた。しかし、米ドル指数は連続6週間の陽線引けを達成し、すでにオーバーした兆しを露呈、ここから高値圏にて波乱してもおかしくないだろう。

日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化自体は円売りの材料ではなかった。従って、米ドルのショート・カバーが一巡した後、これから材料の蒸し返し(即ち円買い)があってもおかしくはない。ただし、目先は日本の事情が無視され、米ドルの頭打ちがあっても円が積極的に買われることはないだろう。あくまで高値圏での推移に留まると見ている。

豪ドル/円 週間予想レンジ:93.50~95.00

メインストラテジー:押し目買い

・底固めに成功
・上値志向は継続
・強気基調が復帰

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週切り返し、陽線で大引けした。値幅がなお限定的であったものの、底割れ回避や底固めに成功した、という意味合いでは大きなサインを点灯し、今週の強気変動に繋がるだろう。

もっとも、先々週再度反落したため、一旦この前の上昇幅を帳消しした。そのため、先週の値動きが重要であった。切り返しがあれば、基調の維持でなお上値志向を示し、市場参加者らの思惑にも寄与したと思う。

というのも、8月第2週の切り返しにより、陽線で大引けした。同週値幅こそ限定だったものの、底割れ回避という意味では大きな存在感を発揮し、これからの均衡状態を作り出したところで、本来続伸しやすい環境にあった。先々週の反落幅のすべてを取り戻していないものの、先週からの切り返しで再度均衡状態に復帰したと言える。

8月最初週、一旦95.86円をトライしたものの、一転して大幅反落し、週足では「スパイクハイ」の大陰線を形成した。さらに、7月最終週の週足ではより値幅の大きい大陰線を形成したことから「インサイド」のサインが形成され、目先までの値幅を含めて同サインを形成中と見なし、レンジ変動の状況とはいえ、上値打診があってもおかしくなかったことも繰り返し解説してきた。同見方を維持していきたい。

先週の切り返しがあったからこそ、一層楽観的なシナリオに傾ける。これまで強調してきたように、週足における「インサイド」、母線の「スパイクロー」のサインに鑑み、弱含みとはいえ、基調が崩れたことでベアトレンドへの復帰を認めなかった。この視点において、先週の値動きを回復途中の強気のサインと位置付ける。

豪ドルの頭の重さを想定していたが、底割れではなかったこともこれまで繰り返し解説してきた。また、6月高値の97.75円を起点とした反落は、あくまで調整子波の位置付けであると繰り返し強調してきた。日銀会合後の波乱は、一旦行き過ぎ(92円関門割れ)であった上、7月31日に一旦95.86円まで戻り、7月28日罫線の意味合いを証明したと解説していた。

同日は典型的な「スパイクロー」のサインを点灯し、また大引け値をもって大幅切り返しを果たしたため、事実上「フォールス・ブレイクアウト」、即ち安値トライ自体が「ダマシ」であったことを証明し、調整子波の完成が想定できたわけだ。

そのため、8月8日に再度「強気リバーサル」のサインが点灯され、また95円関門直前までの上昇をもたらし、一段と底割れ回避を示唆した。先々週8月18日の安値を一旦トライしたものの、その下に定着しない限り、なお支持として認識され、また先週の値動きで強化されたわけで、じわじわ強気基調への回復を図れるでしょう。あくまでレンジ内における押し目買いのスタンスで臨みたい。