毎週月曜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問に広木隆が回答いたします。回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。
Q.日経平均株はいったん全株利益確定して、10月に再購入した方がよいですか?
日経平均株価の元気がありません。というか、下落しています。いったん全株利益確定して、10月に再購入した方がよいですか?
回答
たしかに日経平均株価は7月の第一営業日に目先の高値をつけた後、元気がありませんね。6月までは月間ベースで6連騰、つまり毎月上昇する相場が続いてきましたが、年後半に入ったとたんにその勢いは失われてしまいました。日経平均の日足チャートを見ると、7月3日の高値3万3753円を頂点として、その前の高値6月16日の3万3706円と、その後の高値8月1日3万3476円の3つの山が並んでいる形状です。こうしたチャートの形状を「三尊天井」と言います。三尊天井は相場が目先の天井を打ったサインとされ、これが示現するとその後は下落トレンド入りとされます。
でも「そんなの関係ねえ(古い?)」とレポートで書きました。(8月18日のストラテジーレポート『三尊天井なんか気にするな』)日経plus9では「三尊なんて ほっとけ(仏だけに)」と述べました。詳しくはレポートをお読みください。
足元の株価の調整の理由ですが、第一には米国の長期金利の上昇が重荷になっていると考えます。さらに言えば、もともと夏場の相場は軟調になることが多いという季節性もあります。実際に過去20年の日経平均の月別パフォーマンスを調べると8月はワースト2位です。市場参加者の多くが夏休みでマーケットから離れ、活気がなくなる「夏枯れ」のイメージ通りです。
季節性の問題は夏が終わることで自然に解消します。すると残るは米国の長期金利の上昇が一服するかという点ですが、これはFRB(連邦準備制度理事会)の利上げ次第だと言えます。
転機となるのは来月発表される8月分のCPI(消費者物価指数)だと見ています。7月のCPIの上振れはテクニカルな要因が影響しています。米国のインフレは着実に落ち着いてきており、9月に発表される8月のCPIでそれが確認されるでしょう。それを受けてFOMC(連邦公開市場委員会)が再度利上げを見送れば、一気に相場の潮目は変わるだろうと考えています。
Q.期待収益とリスクを自分なりに算出して銘柄選択と入れ替えを定期的に行った方が、投資効率がいいでしょうか。
個人の個別銘柄投資の場合も期待収益とリスクを自分なりに算出して銘柄選択と入れ替えを定期的に行った方が、投資効率がいいと思われますか?また投資効率を上げる良い方法がありますか?
回答
「投資効率」の意味がよくわからないですが、個人の個別銘柄投資の場合も期待収益とリスクを自分なりに算出して銘柄選択と入れ替えを定期的に行った方が断然によいです。
Q.投資家としての心構えとして大切なことを3つ提示していただけますでしょうか。
投資家としての心構えとして大切なことを3つ提示していただけますでしょうか。
回答
たくさんあり過ぎて3つとなると迷います。なにしろ僕が(そしてウォーレン・バフェットも)尊敬する投資家、ハワード・マークスは、「投資で一番大切な教え」として20も挙げているのですから。
そのなかで僕が一番、好きなのは『「二次的思考」をする』というものです。単純な考えが「一次的思考」です。例えば、景気が悪くなりそうだから株を買うのはやめておこう、これが「一次的思考」です。投資の世界で勝ち残るには、そんな単純な、浅薄な考え方ばかりしていたら勝てませんよ、ということです。
ハワード・マークスの「市場サイクルを極める」で述べられている、『将来の予想はできないが、いまがサイクルのどこにいるのかを見極めることはできる』というのも好きです。「ブラック・スワン」で有名なナシーム・ニコラス・タレブからも学ぶことは多いです。『ひとがランダムなものをランダムだと認めることは難しい』
『眠れぬ玉は持つな』相場格言になっていますが、もともとはジョン・ピアモント・モルガン(すなわちJPモルガン)の言葉だったと思います。 夜、不安になって眠れないほどの株を買ってはいけない。リスク許容度を自覚せよ、ということです。
僕自身の教訓というか、僕がみなさんに伝えたいメッセージは『市場から退出しないこと』銘柄を入れ替えたり、ポジションを手仕舞ったりはします。でも、運用そのものをやめてはいけません。
Keep Investing これに尽きます。
Q.花王の増配は持続可能ですか。空売りを選択肢としてもよいでしょうか。
花王(4452)の増配は持続可能ですか。空売りを選択肢としてもよいでしょうか。
回答
日本の連続増配株で最長の33年連続増配ですから、この実績に照らしても持続可能だろうと思います。そもそも日用品というディフェンシブな業態ですから堅実な配当原資を確保できるのでしょう。空売りというのは、まったく良いアイデアではありません。空売りが、いかに悪手であるか、別の機会にじっくりお話します。
Q.日本特殊陶業は、将来、電気自動車が主流になると業績の先行きは厳しいと思いますが、どのようにお考えですか?
日本特殊陶業(5334)は、将来、電気自動車が主流になると業績の先行きは厳しいと思いますが、どのようにお考えですか?
回答
それは日本特殊陶業(5334)の企業自身がいちばん考え、対策を講じていることでしょう。同社は2040年になりたい姿から逆算して、2030年に向けたプランなどを実行中です。計画通りいくかはわかりませんが、意志あるところに道あり、でしょう。すでに売上高の構成比はNGKブランド(スパークプラグ)51に対して、NTKブランド(ニューセラミック)が49と半々にまで分散化が進んでいます。
このコーナーでは、毎週月曜夜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問にチーフ・ストラテジストの広木隆が回答いたします。
今回は2023年8月21日のセミナーで寄せられたご質問から抜粋して回答しています。
回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。
【広木隆のMonday Night Liveについて】
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