今週(7月28日~8月3日)の相場動向
相場回顧 BTC:DeFiハッキング騒動などで相場は混乱
ビットコインはもみ合いの展開となった。日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の柔軟化をサプライズで発表し、為替を中心に金融市場ではボラティリティが一時的に高まったが、暗号資産市場への影響は限定的だった。
薄商いで方向感に乏しい中、主要な分散型金融(DeFi)サービスの1つであるカーブ・ファイナンスで大規模な不正流出が発生し、同サービスが発行するCRVトークンの価格は暴落した。これによりDeFi全体における連鎖的なポジション清算が懸念された。また米証券取引委員会(SEC)がコインベースに対してビットコイン以外の暗号資産取引を停止するよう訴訟前に求めていたとの報道も悪材料となり、ビットコインはBTC=407万円(28,500ドル)付近まで下落した。
その後、カーブ・ファイナンスへの過度な懸念はホワイトハッカーや業界人による救済措置によって後退した。格付機関フィッチ・レーティングスが米国長期債の格付けを引き下げたことを受けて法定通貨からの逃避という思惑も強まり、一時BTC=429万円(30,000ドル)付近まで急回復した。
しかし、米司法省がバイナンスの起訴を検討しているとのリーク情報が出回ると、たちまちBTC=415万円(29,000ドル)付近まで急落した。米7月ADP雇用統計が市場予想を上回る内容であったことから米国金利が上昇し、これを受けて株式市場の売りが強まる中、軟調な推移が続いた。
来週(8月4日~8月10日)の相場予想
BTCはDeFiやバイナンスへの懸念により軟調継続か、米7月CPIも注目
米国長期債の格付けがおよそ12年ぶりに引き下げられたことを受けて市場はややリスクオフに傾いているが、雇用や企業業績の堅調さから米国における過度な景気後退懸念も後退しているため、そのような動きは短期的にとどまるだろう。来週は米7月消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、今回もインフレの鈍化が続き、利上げ停止への期待が高まればリスクオン買いが強まることは考えられる。
カーブ・ファイナンスのハッキングは、DeFiランキングでも上位のサービスの被害であったため、DeFi全体への信用が弱まる事件となっている。その原因がVyperという開発言語のバグであったことから、同じ言語のヴァージョンを使用するDeFiサービスには同様のリスクが潜んでおり、さらに被害が拡大した場合にはアルトコインを中心に売りが強まるだろう。事件後の対策やバグの改善に関する続報を引き続き注視したい。
規制面では米司法省がバイナンスを詐欺罪で起訴する可能性が報じられている。FTXショックのような取り付け騒ぎを警戒して代替案を検討しているという見方があるが、その起訴が現実のものとなれば相場へのネガティブな影響は必至だろう。今月にはバイナンス・ジャパンも始動したばかりであり、日本ユーザーへの影響も懸念される。
直近、上値として今週の高値付近であるBTC=429万円(30,000ドル)、下値として6月上昇前のレンジ半ば付近であるBTC=400万円(28,000ドル)を意識する。