政策金利0.25%の利上げ、データ次第で年内に追加利上げも

現地時間7月26日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会、日本の金融政策決定会合に該当)が開催され、前回据え置きとなった政策金利は市場予想通り0.25%の利上げにより5.25-5.5%となりました。

公表された声明文では、景気の現状についてその成長ペースを前回は控えめな「modest(控えめ)」としていましたが、今回は穏やかな「moderate(緩やかな)」に変更されました。少しトーンが明るくなった印象です。ただ、他には目立った変更点はありませんでした。

会見ではさらに幾つかの点が示唆されました。声明文にもあるように今後の政策決定においてはデータを重視することを強調。年内あと1回の利上げを示唆するとともにその時期は未定で、9月は利上げかスキップか選択肢を残しています。

また期待された効果を発揮するほど金利は抑制的ではなく期間も不十分との認識を示し、インフレが目標に落ち着くと確信するまで政策を維持する、と短期的な利下げ転換を否定しました。なお、物価が2%程度に落ち着くのは2025年頃までかかるとの見方も示されております。

成長に関しては減速が年内に始まると予想している一方、最近の経済データの堅調さからリセッションはもはや予想していない、との見方が示されました。

利上げは最終局面、一段の株高には好材料が必要ななか債券投資には好機

市場は声明文に株高で反応しましたが、会見とともに落着き“いってこい”の展開に、また金利は低下しやや円高となりました。事前の市場予想通りの結果となり、タカ派スタンスは続くものの利上げは最終局面にあると言えます。

今後は利上げの累積的効果による物価の落ち着きを確認するなかで、鈍化が予想される景気の度合いも注目されます。上昇が続く株式市場ではすでにソフトランディングが期待されている様相ですが、リセッション回避に自信が示されたことは歓迎される一方、その事実確認が必要です。

現在行われている決算発表もその一つになりますが、実体経済のデータが改善基調を示すなど、一段の株高には好材料が必要です。一方で、利上げの最終局面は米国債投資にも好機であると考えます。