先週火曜日に「資本市場と私」というつぶやきを書きましたが、その翌日に東京大学で、東大総長と一緒に、私が東大に寄付をし、その寄付をもとに長期的視点を持って資本市場を研究する組織を設立する旨の、記者発表を行いました。資本市場の活性化が目的ではありません。資本市場を活用して、日本の生産性や競争力をどう上げるか、が目的です。しかしそのようにして生産性や競争力が上がる時には、必ず資本市場は活性化し、株価も大きく上昇することでしょう。

マネックス創業前、私を一人前の社会人にしてくれたのは資本市場です。そんな資本市場に恩返ししたい。資本市場は正しく機能すれば社会や参加者にとって優れて有益であり、そのことを日本で実現したい。そういう思いで、24年前にマネックスを創業しました。今回の資本市場研究組織の、私個人の寄付による設立も、完全に同じ思いからです。

企業の経営資源はヒト・モノ・カネだと云われますが、日本企業は必ずしもこれら経営資源をちゃんと最適配置していません。年功序列や男性偏重で、最大の経営資源であるヒトを最適配置していない。モノ、即ち生産要素も、ひとつの製品・サービスにあまりにも多くの企業がひしめいていて、研究開発や設備投資して生産性を上げるよりも、値下げをして競争することになっていたり。或いはカネ、即ち資本効率が悪いままだったり。これら最も重要な経営資源を最適配置しないという状態でも、日本のGDPは世界3位です。これは驚異的なことで、鉄ゲタを履いて徒競走をしているのに3位入賞みたいなもんです。

これら経営資源の最適配置をもっと行ったら、日本はまだまだイケると思うのです。スタートアップ企業の更なる成長を促す資金調達のあり方や、制度設計も、改善の余地が大きくあります。そして企業活動をしやすくする、或いは株価をもっと上げる、税制や会計制度まで含めた、資本市場全体のグランドデザインも、もっとしっかりと研究・議論されるべきです。

長期的な視点と、資本市場を活用して日本の生産性や競争力を上げるという目的のもとに、実務を良く理解しながら研究し、継続的に発信・提言していくべきだと考えています。私はメイド・イン・資本市場なので、資本市場に還元するのは、極めて当たり前のことだと考えています。本研究組織については、いずれまた詳しく、ご紹介したいと思います。

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