今週の日銀会合後、円買いの動きに注目
先週1月13日、日本の長期金利が一時0.545%まで上昇し、日銀が上限とする「0.5%程度」を大きく上回る事態となりました。
足元では、投機筋などが長期国債を仕掛け的に売る動きが強まっており、それに対して日銀は懸命に国債の買い入れを増やして防戦するものの、長期金利の上限を抑え続けることには自ずと限界もあり、市場では日銀がいずれ一段の緩和修正に動かざるを得なくなるとの見方も強まっています。
その一方、1月12日に発表された12月の米消費者物価指数(CPI)の結果が事前予想や前回水準よりも弱めだったことなどを背景に、次回の米利上げ幅が前回の0.5%ポイントから0.25%ポイントに縮小すると見る向きも市場で日増しに増えています。
1月12日にフィラデルフィア連銀のハーカー総裁が「今後は0.25%ポイントの利上げが適切になる」と述べ、翌1月13日にはアトランタ連銀のボスティック総裁も「0.25%ポイントの利上げに違和感はない」と述べるなど、市場の見方を後押しする発言も聞かれるようになっており、勢い米ドル売りの流れも一気に強まってきています。
今週は1月17-18日に日銀金融政策決定会合が行われることから、目下の最大の焦点は「日銀会合の結果を受けた後、市場で円買いの動きが一旦鎮まるかどうか」ということになっている模様です。
正味のところ、日銀が市場を適切にコントロールする能力には疑問符がつくところもあり、果たして会合後に足元の円買い材料が「一旦出尽くし」となるかどうかについても些か疑問が残ることは確かです。
ただ、その可能性も完全には否定できないわけで、一応は一旦リバウンドの動きが生じる可能性についても心積もりしておくことは必要であると思われます。
米ドル/円は下値を模索する動き
先週末にかけての米ドル/円は、先々週まで強く下値をサポートしていた一目均衡表の週足「雲」上限の水準や62週移動平均線を明確に下抜ける動きとなり、1月13日には一時127.45円処まで下押す場面がありました。
これは、2021年1月安値=102.59円から2022年10月高値=151.94円までの上昇に対する、「半値(50%)押し」の127円台前半の水準に近いということが1つのポイントです。
この「半値押し」水準で下げ止まらなければ、次に2022年5月安値の126.36円や心理的節目の125円処が視野に入ってきやすくなると思われますが、もはやここまで来ると幾つかの下値の目安まで到達した後に、一旦反発の動きが生じてもおかしくはないと考えることもできるでしょう。よって、ここから無闇にまとまった売りを仕掛けることには慎重でありたいと個人的には考えます。
ユーロ圏は欧州の暖冬により景気に変化
このところの欧州では予想外の暖冬が続いており、それに伴ってガス価格が急低下していることが、域内景気とユーロの先行きに対する見方を大きく変化させているということも見逃せません。
米国の利上げ幅が縮小するとの見方が台頭する中、欧州中央銀行(ECB)は今しばらくタカ派姿勢を堅持すると見る向きは多く、当面は米国の欧州の金利差が縮小すると見る向きも増えてき始めています。
結果、ユーロ/米ドルは62週移動平均線をクリアに上抜け、先週末にかけては1.08ドル台乗せる強い動きを見せました。今週1月19日には12月開催分のECB理事会議事録の公開とラガルド議長の講演が予定されており、その内容次第では一目均衡表の週足「雲」上限の水準(現在は1.0930ドル処)や心理的節目である1.10ドル処まで上値を伸ばす可能性もあると見られます。
その結果としてユーロ/円が比較的底堅く推移した場合には、そのことが米ドル/円の下値をもある程度は支える可能性があり、いまや「欧州の暖冬」は軽視できない要素の1つと考えねばならなくなってきました。