米ドル/円 

週間予想レンジ:104.00~105.50

メインストラテジー:押し目買い

・年初来高値更新
・円安の流れが加速
・底打ちサインを再証左 

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週、大幅に上昇し、年初来高値を更新して105円関門手前まで迫った。年明けから切り返しが継続しており、流れとして円安の方向に振れやすく、足元はなお初動状態にあるとみる。先々週までの保ち合いを切り返しの途中と解釈したのも正解だった。先週の大幅上昇でモメンタムの改善につながり、これからも上昇モメンタムの維持が想定される。

流れを転換させた重要なシグナルとして、やはり1月第1週の大陽線の意味合いが大きかった。同週102.58円の安値をトライしてから反騰し、一旦104円関門をブレイクして大引けするも、104円関門に近く、典型的な「強気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯した。その上、2020年6月高値から形成されてきた「下落ウェッジ」の下限を一旦トライし、その後反騰したこと自体、底打ちを暗示するサインとして蓋然性が高かった。ゆえに、先週の大陽線をその流れの一環として位置づけ、なお流れの途中であることも明らかである。

もっとも、我々は一貫して円の上昇余地の限定を指摘してきた。米国株高、特にNYダウ指数が3万ドル大台に乗せ、典型的なリスクオンの環境の中、いわゆる「リスクオンの円高」といったロジックが効きづらく、大幅な円買いさえなければ、波乱があっても「コップの中の嵐」と見なした。従って、先週の上昇自体が、むしろ当然の成り行きであり、円安の流れがまだ初動段階にあると推測される。

米ドル全面安の一服も背景にあった。91円大台を前にして、ドル指数が安値圏での保ち合いを維持したことも重要である。要するに、米ドル全体の急激な切り返しが見られないからこそ、主要クロス円における外貨安・円高の可能性も低下し、先週の米ドル/円の上昇と相まって、主要クロス円における円安の流れが一層鮮明となる。またその流れ自体が米ドル/円の下支えとなるような相乗効果が確認される。

前回コラムで指摘した通り、日足における直近のサインと言えば、1月14日~19日に形成された「インサイド」のサインである。1月20日に一旦下放れしたものの、継続的な下値打診が回避され、1月22日の切り返しもあり、同下放れが「ダマシ」であった可能性もある。先週の上昇が、この「ダマシ」の蓋然性を強化し、年初来高値の更新をもって2020年11月高値105.69円への戻りをもたらす見通しだ。

2020年11月高値の打診があれば、前記「ダマシ」が証左される上、2020年3月高値から継続されてきた米ドル安の流れを転換させる土台を構築するであろう。繰り返し指摘してきように、2020年3月高値からの下落が、大型「下落ウェッジ」のフォーメーションを形成してきただけに、2020年11月高値の打診があれば、同上放れを証左し、「ドル高・円安」の流れを加速するであろう。

先週の大幅上昇で既に2020年6月高値から引かれてきた抵抗ラインをブレイクし、ここから大した押しがなければ直接105円台半ばの打診が見られるであろう。この場合、年初安値(102.58円)を「ヘッド」とみなし、2020年11月安値(103.17円)と2021年1月21日安値(103.32円)を「ショルダーズ」とみる場合は、大型「ヘッド・アンド・ショルダー・ボトム」(逆三尊型)の成立につながるため、一層「ドル高・円安」の流れを強化する。

総合的にみると、年初の安値打診や、底打ちの蓋然性の高まり、米長期金利の下落一服、切り返しの流れと相まって、これから徐々に2020年3月高値から継続されてきた米ドル安の流れを修正していくだろう。

繰り返し指摘してきたように、米ドル全体の切り返しがあれば、主要外貨のうち円が一番弱い存在なので、円は米ドル高の受け皿として重要な役割を果たす公算である。すなわち、円安の流れがこれから一層鮮明になってくる可能性が大きく、しばらく米ドルの上値余地や切り返しのモメンタムに注意しておきたい。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:79.00~82.00

メインストラテジー:押し目買い

・メイントレンドを維持
・円高があっても限定的
・79円台の支持を確認

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週も値幅限定だったが、週足では再度「十字線」に近い足型を示し、高値圏での保ち合いを示唆した。もっとも、動きがあっても「コップの中」である。79円台の支持を再確認していたところも、我々のメインシナリオが維持され、今週も同見方に修正がないと思われる。

米ドル全体の切り返しを背景に、豪ドル/米ドルの反落幅が拡大され、米ドル/円の上昇幅を帳消しにした形で先週も豪ドル/円の軟調に繋がった。こちらも我々の許容範囲に留まり、想定通りだったと言える。基本的には1月第2週からの反落に続き、高値圏での保ち合いに留まったことがより重要なシグナルと見なされ、過大解釈すべきではなかろう。

もっとも、年初来たちまち高値を再更新し、1月第1週において80.94円をトライした。週足においてほぼ「10連陽」となり、スピード調整があっても当然な成り行きと見てきた。その後の反落は、豪ドル/米ドルの反落につられた側面が大きかっただけに、スピード調整自体はサプライズでなく、むしろ調整幅が限定されたことを再度強調しておきたい。

繰り返し指摘してきたように、年初来80円心理大台を一旦上回ったことが重要なサインだった。豪ドル/円のブル基調は堅実なものであり、80円心理大台のブレイクがあっても通過点に過ぎず、新たな上値余地を拡大したとみる。ここから調整の先行があっても安易な基調崩れがないことも、これまでに強調してきた通りである。その根拠もしっかりあったため、目先までの値動きを途中のスピード調整と位置づける。

2020年年末の続伸、12月第3週の足型が重要なヒントを示唆してくれたところが大きい。同週にて一時77.48円まで調整したものの、再度78.63円で大引けし、典型的な「スパイクロー」のサインを点灯させ、年初来までの続伸をもたらした。2020年11月からの流れを強化する意味合いにおいては、強気変動の一環と見なされ、更なる上値トライが有力視された。

要するに、2020年12月の高値更新が重要であった。2020年12月第1週78.81円の打診をもって2020年年初来高値を更新したことにより、新たな段階入りを示し、上値余地の大幅拡大につながったわけである。2018年高値の84円台が視野に入ることも既述の通りで、先週再度79円台の支持が証明された以上、メインシナリオ自体がむしろ強化されたとみる。

豪ドル/米ドルの調整で2020年11月から続伸してきた勢いが続かない、という懸念を完全に杞憂とは言い切れない。しかし、既述の通り、76~77円関門前後のメイン支持ゾーンを割らない限り、ブル基調は継続されるだろう。実際、我々はすでに同支持ゾーンを78~79円に上方修正しており、先週の79円大台の維持自体、むしろ強気シナリオの証左となり、弱気に転換する必要もなかろう。

そもそもスピード調整自体も想定通りであった。繰り返し指摘してきたように、80円心理大台のブレイクがあったため、何らかのスピード調整を想定していた。新たなステップ入りの段階において、目標達成感による調整の先行もよく観察されるパターンである。1月第2週からの反落が許容範囲内に留まり、むしろ想定された以上に浅い押しに留まったと言えるため、引き続き強気スタンスをもって臨みたい。

直近のサインとしては1月28日や29日の足型に注意したいところだ。前者は「スパイクロー」の陽線、後者は「スパイクハイ」の陰線を示し、高値圏でのレンジ範囲を暗示している。すなわち、79.19円~79.79円というレンジの打破をもって一段と変動幅の拡大をもたらすため、上放れの蓋然性に注目しておきたい。さらに、上放れの場合は、1月28日の罫線に「フォールス・ブレイクアウト」の意味合いも持たせるので、上放れ後の高値追いも一手となるかもしれない。