米ドル/円

週間予想レンジ:103.50~105.00

メインストラテジー:押し目買い

・ドル指数との連動
・米長期金利との連動
・モメンタムの限定

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週の米ドル/円相場は小動きとなり、週足では「十字線」に近い形を示した。一方、先々週の大陽線に続く位置づけで切り返しの途中と解釈されやすく、モメンタムの低下があっても中段保ち合いの一環とみられる。この意味では、先週より先々週の大陽線のほうが、より重視される。

先々週102.58円の安値をトライしてから反騰となり、一旦104円関門をブレイクした。また大引けも104円関門に近く、典型的な「強気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯した。6月高値から形成されてきた「下落ウェッジ」の下限を一旦トライした。その後反騰だったことに鑑み、サインの蓋然性が高いとみる。

もっとも、我々は一貫して円の上昇余地の限定を指摘してきたが、その理屈はシンプルであった。米国株高、特にNYダウ指数が3万ドル大台に乗せて大引けするような典型的な「リスクオン」の環境の中、いわゆる「リスクオンの円高」といったロジックが効きづらい。大幅な円買いさえなければ、波乱があっても「コップの中の嵐」となりやすいため、年始からの米ドルの反騰はむしろ当然な成り行きとみる。

更に、米ドル全面安の一服がドル指数でも観察され、米ドル/円は米ドル次第なので、同指数との連動という意味合いでも確認できる。その背景には、米長期金利(10年国債利回り)の上昇があり、過大なるドルショートポジションの積み上げもあり、これからも買い戻しによる「踏み上げ」が発生しやすく、一段と上昇しやすいだろう。

円サイドの材料としては、緊急事態宣言の再発令が試金石となり、いわゆる「リスクオフの円高」がなかったことが再度証左されたとみている。ゆえに、先々週のサインを安易に否定できず、押しがあっても限定的で、徐々に上値余地を拡大していくことが想定される。

半面、米ドル全面安の一服、またそれに対する修復の局面において、外貨安による円高圧力の可能性もある。この場合は米ドル/円のモメンタムを抑制し、米ドル/円の上値志向があっても目先は限定される値動きになりかねない。

とは言え、米ドル全面安の流れが大分推進されてきた以上、一気に修復されることもなかろう。あくまで「売られすぎ」に対する修正なので、米ドル高局面へは程遠い。なので、過大な心配は不要だろう。主要クロス円における波乱があっても「コップの中」であり、メイントレンドとしてブル基調の維持が有力視される。

テクニカル上の根拠としてもう1つの視点を見逃せない。即ち、2020年11月第2週大陽線及びその後形成された「インサイド」のサインがあったことだ。2020年12月中旬における安値更新、また先々週の安値再更新が本来下放れを確定したところであったが、下値を切り込みせずに反騰してきたから、逆に前記「強気リバーサル&アウトサイド」の蓋然性を強化している。

すなわち、年始以来の安値最更新が「フォールス・ブレイクアウト」のサインでもあり、これから2020年11月高値の105.69円の再打診をもって証明される可能性が大きい。このサインが「ホンモノ」なら、105円後半の打診を射程圏に収めることになるだろう。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:79.50~82.00

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドル/米ドル買われすぎ
・波乱があっても「コップの中」
・80円心理大台通過の重要性

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週の豪ドル/円相場は小幅反落。2020年11月からの連騰を一服させた。もっとも、先々週80.94円まで週足においてほぼ「10連陽」となり、スピード調整があっても当然な成り行きとみる。先週の反落は、豪ドル/米ドルの反落につられた側面が大きい。ただ、豪ドル/米ドルとの連動によって「買われすぎ」の可能性も高まっただけに、スピード調整自体はサプライズではない。

年初以来80円心理大台を上回ったことが重要なサインだった。繰り返し指摘してきたように、豪ドル/円のブル基調は堅実である。80円心理大台のブレイクがあっても通過点にすぎず、新たな上値余地を拡大し、ここから調整の先行があっても安易な基調崩れはなかろう。

その根拠も繰り返し指摘してきた通りである。2020年末の続伸、12月第3週の足型が重要なヒントを示唆してくれた。同週にて一時77.48円まで調整したものの、再度78.63円で大引けし、典型的な「スパイクロー」のサインを点灯させ、先々週まで続伸をもたらした。2020年11月からの流れを強化する意味合いにおいて、強気変動の一環とみなされる。

要するに、2020年12月の高値更新が重要であった。2020年12月第1週78.81円の打診をもって2020年の年初来高値を更新したため、新たな段階入りを示し、上値余地の大幅拡大につながったわけで、2018年高値の84円台が視野に入る。

豪ドル/米ドルの調整において、「2020年11月から続伸してきた勢いが続かない」という懸念を完全に杞憂とは言い切れない。しかし、76~77円関門前後のメイン支持ゾーンを割らない限り、ブル基調の継続が有力視されることは不変である。実際、先々週の続伸で同支持ゾーンがすでに78~79円へと上方修正され、強気構造の再確認につながりやすいという見方も変わらない。

2020年8月末高値~10月末安値まで2ヶ月間かかった調整子波と、11月9日大陽線をもってその終焉が証左された以上、高値の更新をもって新たな段階入りを示唆した。そのため、2020年3月安値を起点とした大きな上昇波の一段延長を確実なものと見て、80円心理大台のブレイク、新たな上昇段階入りのサインと見なせるため、押し目があれば拾う好機とみる。

もっとも、既述のように80円心理大台のブレイクがあれば、何らかのスピード調整も想定される。新たなステップ入りの段階において、目標達成による調整の先行もよく観察されるパターンである。先週の反落は想定の範囲内の出来事であり、許容範囲内に留まるであろう。

ファンダメンタルズにおいては、米国サイドの材料が気になる。政権移行などに問題が生じれば、何らかのリスクが浮上すると考えられる。米ドルが再び買われる局面があれば、豪ドルの調整も想定より大きくなる可能性がある。但し、振れ幅の拡大があっても構造的な修正にならず、豪ドル高のトレンドがしばらく継続されることは不変であろう。