米ドル/円 日足

週間予想レンジ:109.00~111.50

メインストラテジー:押し目買い

・4月高値更新をもって円安の基調を一段と強化
・主要クロス円における急騰はトレンドを支える
・激動の3月の流れを汲み、ドル高基調への復帰が続く

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週大幅続伸、4月高値の更新を果たし、ドル高・円安のメイントレンドを一段と強化した。繰り返し指摘してきた通り、日足におけるフォーメーションでは、4月高値から5月安値まで小さい「下落ウェッジ」の形成が見られ、5月第2週の上放れがすでに確認された以上、先週までの値動きはむしろ教科書通りで、また4月高値のブレイクをもって新たな段階に入ったことを示唆。

新しい段階はほかならぬ、3月高値から5月安値まで形成された大きな「下落ウェッジ」の一段確認で得られた戻りの余地であろう。テクニカルの視点では、前記のように教科書通りなら3月高値111.72円の回復を目指す。先週の大幅続伸、また4月高値109.39円のブレイクは途中の一環と見なし、強気変動を証左する新たなサインと見なせる。

米5月雇用統計のサプライズ(想定より遥かに改善)につられた側面もあったものの、日足でみればわかるように、6月2日の値幅はより大きく、また上昇加速していたから、その後の続伸や先週末米雇用統計後の値動きはむしろ当然の成り行きとみる。

日米株の大幅続伸、また米ナスダック指数の史上最高値の再更新と相まって、為替市場も総じてリスクオンのムードが一段と確認され、主要クロス円の大幅続伸をもたらした。先週ユーロ/円、豪ドル/円など主要クロス円の上昇幅が大きくリスクオンの典型的なパターン、即ち外貨高・円安の大幅進行に伴い、米ドル/円のみ上昇、対その主要外貨下落といった傾向が強まり、これからスピード調整が避けられないものの、円安のメイントレンドの継続を強く示唆。

繰り返しとなるが、ドルの強気基調は5月6日にて106円関門前後の支持を守ったことが始まりであった。激動の3月に対する反動という位置付けでは、5月安値をもって完了した。また同安値からすでに新たな上昇の段階に入ったことが先週の大幅続伸で確認され、ブル基調に復帰した認定できる。

詰まる所、3月ドル全体の急伸が「恐怖のドル買い」であったならば、その後ドル全体の反落に伴う米ドル/円の反落は一時「買われすぎ」だった状況に対する調整なので、同調整がすでに完成された以上3月高値への復帰は早晩確認できるとみる。

基礎となる重要なサインの存在も変わっていない。繰り返しとなるが、3月第2週の足型が点灯したサインは間違いなく「フォールス・ブレイクアウト」、即ち歴史的な金融相場の混乱と相まって一時の下放れが「ダマシ」であったことを示し、3月高値の111.72円の打診をもたらした。同サインの効き目が有効である以上、また途中の調整がすでに完成された以上、3月高値の再打診を果たせるわけだ。

前回の指摘の通り、最近のサインとして5月29日の「スパイクロー」の陽線があったからこそ、先週の大幅続伸をもたらしたことも見逃せない。5月19日~5月28日の罫線で形成された「インサイド」のサインは、5月29日安値107.07円をもって一旦下放れ(同19日安値は107.29円)したものの、107.79円と高く大引け、同下放れが「ダマシ」だったことを証左したから、先週の大幅続伸はサインの指示通りの結果に過ぎなかった。ゆえに、目先の内部構造も堅調、111.50円前後まで大した抵抗は見つからず、今週の続伸や高値再打診を有力視する。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:75.00~77.50

メインストラテジー:レンジ取引

・大幅続伸は、もはや修正の値動きではないことを示唆
・一気に2019年年末高値76.54をトライ、行き過ぎを暗示
・200日移動平均線越え後の値動きも一直線で、過熱感を漂わせる

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドルは想定通り続伸していたものの、値幅は大きく、一直線に2019年高値76.54円をトライ、また一時ブレイクしたことは意外であった。週足では大陽線をもって3月安値を起点とした切り返し、もはやコロナショックがもたらしたこの前の「売られすぎ」に対する調整ではなく、本流としての豪ドル高・円安の流れを示唆。

この視点では、中期スパンにおける上昇余地が一段と拓け、80円の心理大台の打診も視野に入ってこよう。一方、上昇波自体のスピード感に鑑み、目先3月安値からほぼ一直線に急伸してきただけに、上昇波自体の行きすぎも懸念され、何等かの形でスピード調整の先行も想定される。

とはいえ、繰り返し指摘してきたようにコロナショックで3月19日まで大きく続落、一時60円の心理大台を割り込んだこと自体が豪ドル安のクライマックスだったことに鑑み、切り返しの早期終焉が杞憂であった。

想定より中段保ち合いが早期完了、また高値更新をもって切り返しの継続自体メインシナリオに沿った値動きと認定でき、先週の大幅続伸が目先の行きすぎを暗示するのもメインシナリオは不変。豪ドル高・円安の本流はこれからも継続されるだろう。

コロナショックと相まって、恐怖のドル買いやドル・クランチの進行で豪ドルは資源国通貨として売られやすかった側面が大きかったことは繰り返し指摘してきた通り。一方、先週の急伸で売られすぎに対する修正は完全に果たされ、2019年年末の高値更新やブレイクは証左のサインと見なせる。換言すれば、3月安値を起点とした上昇波はメイン変動と見なせるから、新たな段階入りとも言えるわけだ。

もっとも、75~76円台の打診自体は日足におけるフォーメーションの解読ですでに推測されていた。繰り返し指摘してきたように、3月19日の陽線は「強気リバーサル」のサインを点灯、底打ちを示し、3月25日の高値67.71円へ戻り、切り返しの最初子波を完成したとみなした。

3月25日は「星線」の形状を示し、一旦抵抗ゾーンを確認した形で4月2日の64.39円の打診をもたらした。同安値の水準は3月9日安値の64.47円に近く、その後の切りかえしや3月25日高値のブレイクがあって、「逆三尊」のパターンが示された。そのため中期スパンにおける上値余地、75~76円大台の打診も覚悟していたから、一直線な高値打診自体が「スピード違反」の感じが強いものの、上値ターゲットとしてむしろ想定した通りと言える。

先週200日移動平均線(72円前半)をブレイクした後、ほぼ一本調子の上昇を果たし、76円台後半の打診をもって目先の行きすぎを示唆。豪ドル/米ドルの大幅続伸につられた側面が大きかっただけに、今週豪ドル/米ドルにおけるスピード調整、即ち豪ドルの反落を注意しておきたい。

とはいえ、理論上深い押しがあっても再度200日移動平均線を下回るのが容易ではなく、また同線の割り込みさえ回避できれば、豪ドル/円の強気変動は変わらないだろう。目先レンジ取引で臨みたいが、押し目次第の押し目買いのスタンスはやはり重宝される。