米ドル/円 日足

週間予想レンジ:107.50~110.00

メインストラテジー:押し目買い

・「インサイド」の上放れをもって強気サインをより鮮明化させた
・値動きはなお限定だったが、モメンタムの加速はこれから
・激動の3月の流れを汲み、ドル高基調への回復を鮮明に

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週一旦108円関門をブレイク、上放れのサインを強化した。前回記述した通り、3月高値111.72円、あるいは4月6日109.39円を起点とした下落はそれぞれ「下落ウェッジ」のフォーメーションを形成した。また、4月30日高値107.51円のブレイクを最初の上放れのサインと認定でき、先週の続伸をもって同上放れの基調を一層強化したとみる。

もっとも、5月11日の大陽線の意味合いも記述の通り、「下落ウェッジ」の上放れを決定させた存在だ。先週の値幅自体が極めて限定的であったものの、5月11日高値107.78円のブレイクを果たしたことで同サインをより強化、強気基調の一段と鮮明化しつつある。

5月19日は一旦108.09円をトライ、5月11日以降形成された「インサイド」の上放れを果たしたことを重視すれば、これからも上値トライしやすい環境に。更に、5月19日以降も「インサイド」のサインを形成、これから上放れしてモメンタムの増加を図るだろう。

繰り返しとなるが、上記の連続したサインの点灯は、5月6日にて106円関門前後の支持を守ったことが始まりであった。既述のように、4月に入ってからはドルインデックスと連動性を保ちながら、極めて限定的な値動きしか見られなかった。

これは激動の3月に対する反動という位置付けで、5月に入っても総じて値幅限定なので、先週の続伸があっても目先値幅がなお限定的。しかし、上記のように、上放れが再三に渡って確認された以上、モメンタムの加速、即ち値幅の拡大もこれからだと思われる。

モメンタムの加速には何等かのきっかけを待たなければならない。5月8日リリースされた米4月雇用統計は、史上最悪な数字を出しても市場の事前予想範囲に収め、むしろドルの底打ちに繋がったから、調整変動(反落)の終焉を示唆するきっかけに当たるはずだった。

この意味では、先々週から先週の値動きはむしろ「遅れた」値動きとなり、当然の成り行きとみるが、値幅を拡大させるために別のきっかけが必要かと思う。とはいえ、フォーメーションの指示なら、ここから弱くても4月6日高値109.39円の打診を目指すという従来の見方を維持する。同様に、更なる上値打診があれば、3月高値111.72円の再打診に道筋をつける、といったメインシナリオも不変。

詰まる所、3月ドル全体の急伸が「恐怖のドル買い」であれば、その後ドル全体の反落に伴う米ドル/円の反落は一時「買われすぎ」だった状況に対する調整だ。そして、この調整がすでに完成された以上、モメンタムの強弱と関係なく、上値トライの志向は変わらない。先週の続伸をその一環と見なせる。

基礎となる重要なサインの存在も変わっていない。繰り返しとなるが、3月第2週の足型が点灯したサインは間違いなく「フォールス・ブレイクアウト」、即ち歴史的な金融相場の混乱と相まって一時の下放れが「ダマシ」であったことを示し、3月高値の111.72円の打診をもたらしたわけだ。同サインの効き目が有効である以上、途中の調整がすでに完成された以上、元の上昇基調への戻しを果たすだろう。

判断の基準も繰り返し指摘してきた通り、2016年11月以降、2018年3月第3週を除き、米ドル/円は105円大台以下の大引けがなかった上、月足において、106円大台以上の大引けを維持してきたから、記録的なコロナショックであっても、また進行中であっても、同基準が守られてきたことは大きい。米ドル/円の歴史的な「ダマシ」的なサインは円安の内部構図を証左し、3月高値の再更新を視野に入れる。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:70.00~72.00

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドル安の行き過ぎが修正され、なお途中の公算
・先週の続伸をもって切り返しの一段延長を示唆
・70円の心理的大台の回復や維持をもって当面堅調な値動き

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドルは先週続伸、一旦71.11円の高値をトライ、また70円の心理的大台の維持を果たし、3月安値を起点とした切り返しの一段継続を示唆。

既述のように、4月第1週における大幅切り返し、69円関門のトライをもって豪ドルの底打ちを再度証左したから、修正的な値動き(反騰)が当面継続されやすく、先週の上放れをもって中段保ち合いの早期終焉を証左、今週も上値トライしやすい環境に。

繰り返し指摘してきたように、コロナショックで3月19まで大きく続落し、一時60円の心理大台を割り込んだこと自体が豪ドル安のクライマックスだったことに鑑み、切り返しの早期終焉も杞憂である。想定より中段保ち合いが早期完了、また高値更新をもって切り返りの継続自体、メインシナリオに沿った値動きと認定できる。

コロナショックと相まって、恐怖のドル買いやドル・クランチの進行で豪ドルは資源国通貨として売られやすかった側面が大きかったことは繰り返し指摘してきた通り。ゆえに、3月における一時60円心理大台の割り込み自体が「売られすぎ」のサインと見なし、安値つけた当週(3月16日~)の「スパイクロー」のサインが底打ちのサインとして再認定されたとみる。

4月第1週(4月6日~)の大陽線は同サインの証左となり、また切り返しの新たな段階入りを示していたから、先週の高値トライは同段階の一段伸びを示した。この意味では、上記「売られすぎ」の度合いがいかに深刻であったことを改めて認識させられたといえる。

前回指摘したように、週足におけるサイン、3月第3週に「包まれる」形で同第4週(3月30日~)の陰線引けがあったから、上記4月第1週の大陽線、週足における「インサイド」の上放れを証明したことが整合性をもち、5月第1週(5月4日~)の安値は明らかに3月末の高値を意識していた。

要するに、元の抵抗ゾーンが新たな支持ゾーンとして意識された。先週の続伸はこの見方を証左し、70円前半のブレイクをもって4月21日安値67.28円から5月12日高値70.17円まで形成されたレンジの上放れを果たし、「倍返し」の計算なら、73円関門のトライに照準できる。

より大きな視点では、中段保ち合いの延長や拡大があっても、4月2日安値64.39円を下回れなければ、従来のパターンを維持できることも繰り返し指摘してきた通り、3月19日の陽線は「強気リバーサル」のサインを点灯、底打ちを示し、3月25日の高値67.71円へ戻り、切り返しの最初子波を完成したとみる。

3月25日は「星線」の形状を示し、一旦抵抗ゾーンを確認した形で4月2日の64.39円の打診をもたらした。同安値の水準は3月9日安値の64.47円に近い。その後の切りかえしや3月25日高値のブレイクがあって、「逆三尊」のパターンが示されたから、中期スパンにおける上値余地は75円大台まで延びる計算に。

ゆえに、先週の高値トライはなお途中の一環と見なし、明白な頭打ちのサインが点灯されない限り、なお強気変動の継続を有力視。5月14日安値68.54円を下回らない限り、頭打ちのサインを確認できない可能性も大きいから、何等かの調整があっても余裕範囲をもって測りたい。まず2月3日安値72.40円への戻りを有力視する。