米ドル/円 日足

週間予想レンジ:106.50~109.50

メインストラテジー:押し目買い

・米ドル全体との連動性で考えると、先週の強気変動は重要
・値動き限定だったものの、「下落ウェッジ」を上放れした
・「恐怖のドル買い」がもたらした米ドル高の流れを強化へ

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は一旦107.78円をトライ、米ドル高へ復帰する兆しを点灯した。日足におけるサインは、まず4月30日高値107.51円のブレイクは最初のサインとなり、同サインをもってフォーメーションの認定につながったとみる。要するに、検証のサイン自体が認定のサインでもあった。

3月高値111.72円、あるいは4月6日109.39円を起点とした下落はそれぞれ「下落ウェッジ」のフォーメーションを形成、106円関門の打診をもって一旦完成された疑いがあった。
目先3月高値を起点としたフォーメーションの認定に性急だが、4月6日109.39円を起点とした下落波動を「下落ウェッジ」と見なした場合、4月30日高値107.51円のブレイクを最初のサインと認定でき、また同フォーメーションの上放れを確認できたとみる。

もっとも、先々週106円関門前後の支持を守ったことも重要であった。既述のように、4月に入ってから、ドルインデックスと連動性を保ちながら、極めて限定的な値動きしか見られなかった。従って激動の3月に対する反動という位置付けで、5月に入っても総じて値幅は限定され、先週の上放れがあっても目先値幅の拡大を見られていない。しかし、前記のように、上放れが確認された以上、モメンタムの加速、即ち値幅の拡大もこれからだと思う。

前回も指摘したように、3月の急伸に対するスピード調整という位置付けで調整が見られてきたが、その状況打開するには何等かのきっかけを待たなければならなかった。5月8日リリースされた米4月雇用統計は、史上最悪な数字を出しても市場の事前予想範囲に収め、むしろドルの底打ちに繋がったから、そのきっかけに当たるはずだった。

この意味では、先週の上放れはむしろ「遅れた」値動きとなり、当然の成り行きとみる。フォーメーションの指示なら、ここから弱くても4月6日高値109.39円の打診を目指す、という従来の見方を維持。また、更なる上値打診があれば3月高値111.72円の再打診に道筋をつける、といったメインシナリオも不変。

詰まる所、3月ドル全体の急伸が「恐怖のドル買い」だったとすれば、その後の米ドル全体の反落に伴う米ドル/円の反落は一時「買われすぎ」だった状況に対する調整なので、同調整がすでに完成された公算。従って、これからの上昇が継続される場合、それは元の基調への復帰に過ぎず、トレンドの継承があっても転換ではないことを再確認された。

基礎となる重要なサインの存在も変わっていない。繰り返しとなるが、3月第2週の足型が点灯したサインは間違いなく「フォールス・ブレイクアウト」、即ち歴史的な金融相場の混乱と相まって一時の下放れが「ダマシ」であったことを示し、3月高値の111.72円の打診をもたらした。同サインの効き目が有効である以上、途中の調整がすでに完成されたであれば、元の上昇基調への戻しを果たす。

判断の基準も繰り返し指摘してきた通り、2016年11月以降、2018年3月第3週を除き、米ドル/円は105円大台以下での大引けがなかった上、月足において、106円大台以上の大引けを維持してきたから、記録的なコロナショックであっても、また進行中であっても、同基準が守られてきたことは大きい。

米ドル/円の歴史的な「ダマシ」的なサインは円安の内部構図を証左、3月高値の再更新も視野に入る。目先のサインとして、5月11日の大陽線が形成されて以降、値幅限定だったので、「インサイド」のサインが形成されている。再度上放れ、即ち11日高値107.78円を突破できれば、新たなサインの点灯と見なせる。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:67.50~70.00

メインストラテジー:レンジ取引

・豪ドル安の行き過ぎが修正され、なお途中の公算
・豪ドル/米ドルの一旦頭打ちにつられても中段保ち合い継続
・豪ドル/円のモメンタム次第だが、高値トライは後ずれに

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドルは先週反落した。豪ドル/米ドルの頭打ちにつられた値動きとなり、頭重くなった印象。もっとも、先々週は堅調な値動きを保っていたから、本来高値再更新してもおかしくなかった。同タイミングを一旦通過すると、中段保ち合いの先行が有力視され、今週レンジ変動に留まるかと推測される。換言すれば、先週の反落、切り返しにおけるモメンタムの一旦低下を示した。

とはいえ、切り返し自体の継続は不変であろう。既述のように、4月第1週における大幅切り返し、69円関門のトライをもって豪ドルの底打ちを再度証左したから、修正的な値動き(反騰)が当面継続されやすく、目先なお途中の公算。

コロナショックで3月19日まで大きく続落、一時60円の心理大台を割り込んだこと自体が豪ドル安のクライマックスだったことに鑑み、切り返しの早期終焉も杞憂であろう。コロナショックと相まって、恐怖のドル買いやドル・クランチの進行で豪ドルは資源国通貨として売られやすかった側面が大きかったことは既述の通り。

ゆえに、3月における一時60円心理大台の割り込み自体が「売られすぎ」のサインと見なし、安値つけた当週(3月16日~)の「スパイクロー」のサインが底打ちのサインとして再認定されたとみる。4月第1週(4月6日~)の大陽線、同サインの証左となり、また切り返しの新たな段階入りを示していたから、67円前半や同半ばは当面の支持ゾーンとして役割を果たす見通し。

豪ドル/円の切り返しは、米ドル/円より豪ドル/米ドルとの連動性で確認できた側面が大きかったが、これから米ドル/円との連動性も重視される。しかし、米ドル/円のモメンタムが確認されていないうちは、豪ドル/米ドルの影響はなお大きい。

先週は豪ドル/米ドルの陰線引け、4月最終週(4月27日~)の罫線が示した「スパイクハイ」の意味合いを再確認、先々週の陽線の否定もあって、目先反落の蓋然性を示し、またこれから反落の余地を拓くだろう。今週は豪ドル/円もつられ、頭重い展開になりそうな雰囲気。しかし、それでも中段保ち合いの範囲に留まる見通し。

前回指摘したように、週足におけるサイン、3月第3週に「包まれる」形で同第4週(3月30日~)の陰線引けがあったから、前記4月第1週の大陽線、週足における「インサイド」の上放れを証明したことが整合性をもち、5月第1週(5月4日~)の安値は明らかに3月末の高値を意識していた。要するに、元の抵抗ゾーンが新たな支持ゾーンとして確認できたわけなので、これからも支持ゾーンとして意識される。

中段保ち合いの延長や拡大があっても、4月2日安値64.39円を下回れなければ、従来のパターンを維持できる。繰り返し指摘してきた通り、3月19日の陽線は「強気リバーサル」のサインを点灯、底打ちを示し、3月25日の高値67.71円へ戻り、切り返しの最初子波を完成したとみる。

3月25日は「星線」の形状を示し、一旦抵抗ゾーンを確認した形で4月2日の64.39円の打診をもたらした。同安値の水準である3月9日安値の64.47円に近く、その後の切りかえしや3月25日高値のブレイクがあって、「逆三尊」のパターンが示されたから、中期スパンにおける上値余地を示唆。

ゆえに、これから「倍返し」の計算でまず71円関門手前までを狙えるから、中段保ち合いの延長や拡大があっても途中のスピード調整の一環と見なせるだろう。目先のしるとして、5月7日の陽線の存在を有力視、同日安値67.62円を下回れるかどうかは検証のサインと化す。維持できれば、中段保ち合いの延長があっても値幅限定、また早期完成される見込み。

反面、割り込みがあれば、一段拡大を覚悟しなければならないが、それでも67円関門前後の支持ゾーンを有力視、一時の行きすぎがあっても基本的な内部構造を修正できない公算。レンジ取引でも押し目買いのスタンスをより重視したい。