iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は、税制優遇のメリットを享受しながら自分年金を準備できる優れた制度ですが、不便な点もあります。それは、iDeCoで積み立てたお金は現状、60歳まで引き出すことができないところです。そこで、iDeCoと併用して活用したいのが、2018年1月からスタートした「つみたてNISA」。今回は「つみたてNISA」(積立ニーサ)について解説します。

つみたてNISAとは

つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした積立投資専用の「NISA(少額投資非課税制度)」です。NISA(ニーサ)という名が付いていることから、従来のNISA同様、投資によって得られた売却益(譲渡益)や分配金は非課税になるという制度です。

つみたてNISAでは、毎年の非課税投資の上限金額は40万円で、年間40万円までの投資で得られた利益に対し、最長20年間非課税になります。これまでは、投資可能期間は2037年までだったので、スタートが遅くなればなるほど、投資できる年数が減ってしまったのですが、投資可能期間が5年間延長になることが決まり、2042年まで可能になりました。ですから、2023年までにスタートすれば、20年間非課税で投資できる期間を確保できるというわけです。

また、つみたてNISAで買える金融商品は、金融庁が定めた一定の基準を満たした投資信託・ETFになります。もちろん、基準を満たした金融商品がすべて値上がりするとは限りません。しかし、明らかに初心者に不向きなものや積み立て投資に適さないものは除かれるので、投資先を選びやすくなります。

【図表1】つみたてNISAの概要
出所:筆者作成

つみたてNISA(積立NISA)のメリット

つみたてNISAには多くのメリットがありますが、今回は7つご紹介します。

メリット1:運用益が非課税

通常、投資で利益を得た場合、利益に対して現行では20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAではかかりません。「つみたてNISA」を活用すれば、最長20年間非課税で投資することができるので、本来差し引かれるはずの税金分を含めて投資へ回すことができます。非課税期間20年の間に売却をしなくても、非課税期間が終了した際に「投資元本+評価益(非課税)=取得原価」になるので、メリットは大きいでしょう。

メリット2:少額から始められる

ネット証券では、毎月100円から積み立てることができます。ただし、多くの金融機関では、毎月1,000円から始められるようです。「投資」と聞くと、お金をたくさん持っている人や、まとまったお金がある人がやるものというイメージがあるかもしれませんが、今の時代、お小遣い程度から始めることができます。無理のない金額で投資を実践しながら学び、余裕が出てきたら少しずつ投資金額を増やしていきましょう。

メリット3:売買タイミングの判断が不要

つみたてNISAでは一括投資は認められておらず、投資方法は「積立」のみです。積み立てる頻度は、毎日でも毎週でも毎月でも年に2回でもOKとなっています。金融機関によって、どの購入頻度が選べるかは変わってきますが、いずれの金融機関でも毎月の購入は可能。

自分で指定した金額を、指定した日に自動的に引き落とします。売買タイミングを計って投資をするのはプロでも難しいですが、積立投資は、毎月淡々と買い付けて行くので、投資タイミングの判断がいらず、買い付ける手間がかかりません。

メリット4:低コストで長期投資が可能

つみたてNISAでラインナップされている商品は、金融庁が「長期」「積立」「分散投資」に適していると判断した一定の投資信託です。具体的には、販売手数料が無料で、信託期間(投資信託の運用が行われる期間)が20年以上で、分配金の支払い頻度が毎月ではなく、信託報酬などのコストが低水準のもの、などといったルールがあります。

特に「つみたてNISA」は非課税期間が20年なので、手数料は運用成績に影響します。低コストで長期投資が可能なのは大きなメリットだと考えられます。

メリット5:いつでも資産を換金できる

「つみたてNISA」では、積み立てた資産をいつでも自分のタイミングで自由に換金できます。「住宅資金」「教育資金」「老後資金」「余暇資金」など自分にあった用途で活用しやすいでしょう。

メリット6:年齢上限がなく投資できる

「つみたてNISA」とよく比較されるiDeCo(イデコ)は、積み立てられる年齢が現状60歳までとなっています(今後、65歳まで延長される予定です)。仮に50歳の方が、節税しつつ長期投資をしたいと考えた場合、iDeCoでは、現状10年間しか積み立てられません。10年間も長いと言えば長いですが、つみたてNISAは50歳以上の方でも、非課税のメリットを得ながら、20年間と長期で積立投資ができます。

メリット7:ドルコスト平均法によりリスク(リターンのブレ幅)を抑えられる

積立投資をすると、ドルコスト平均法の効果が期待できます。ドルコスト平均法は、定期的に一定額、金融商品(つみたてNISAは、投資信託)を購入しつづける投資手法です。

投資信託の基準価額(投資信託の値段のこと)は上がったり下がったりしますので、基準価額が低いときにはたくさん買い、高いときには少ししか買わないことになるため、平均購入単価を下げることができます。平均購入単価を下げておけば、再び上昇したときに、利益を出しやすくなるのです。

つみたてNISA(積立NISA)のデメリットとは

魅力的なつみたてNISAですが、他の金融商品同様、デメリットもあります。デメリットも7つご紹介します。

デメリット1:元本割れの可能性がある

つみたてNISAでは運用商品を、金融庁が厳選した投資信託やETFから選ぶことになります。気をつけたいのがあくまでも、「厳選」であり、「元本保証」をしているわけではない点です。投資信託やETFは、定期預金や保険などの「元本確保型商品」ではなく、元本が変動する商品です。元本が変動するということは、運用中に元本割れする可能性があります。

デメリット2:投資信託の商品数が限定される

つみたてNISAで購入できるのは、金融庁の厳しい条件をクリアした投資信託・ETFのみ。いずれも手数料が安く、難しい投資手法を使わないものになっている点はメリットですが、これらの投資信託だから必ず儲かる、というわけではありません。

デメリット3:個別株やREITでの運用ができない

つみたてNISAでは、個別株式やREIT(不動産投資信託)は対象ではありません。つみたてNISAと一般NISAは、併用ができないので、非課税枠の中で、国内・海外の個別株式やREITへ投資したい方は一般NISAを選んだ方が良いでしょう。

デメリット4:損益通算できない

複数の口座で取引をしていると、たとえば「口座Aでは50万円の利益、口座Bでは20万円の損失」という具合に、利益と損失の両方が出ることがあります。このとき、利益と損失を相殺したトータルの利益をもとに税金を計算することを「損益通算」といいます。

この例では、50万円から20万円を引いた30万円がトータルの利益です。損益通算することにより、50万円の利益に税金がかかるのではなく、この30万円をもとに税金を計算するので、税金の負担を軽くすることができるのです。(損益通算には確定申告が必要となります。)

しかし、つみたてNISA口座における損失は損益通算の対象外となります。上の例で口座Bがもし、つみたてNISA口座だったとしたら、損益通算はできませんので、口座Aでの50万円の利益をもとに税金を計算することになります。したがって、利益と損失を相殺した場合に比べ、税負担額は多く生じることとなります。

デメリット5:損失の繰越控除ができない

損益通算で損失を控除しきれない損失がある場合、確定申告をすることにより残った損失分を3年間にわたって繰り越し、翌年以降の利益から差し引くことができます。これを「繰越控除」といいます。繰越控除も税金の負担を軽くするための制度なのですが、そもそも損益通算の対象となっていないつみたてNISAは、繰越控除手続きをすることができません。

デメリット6:所得控除の対象ではない

節税しつつ長期投資ができる制度と言えば、「iDeCo」があり、つみたてNISAとよく比べられます。iDeCoでは、積み立てた金額は全額、所得控除になりますので、所得税・住民税が軽減できます。つみたてNISAでは、積み立てた金額は所得控除の対象にはなりませんので、iDeCoと比較した際にはデメリットといえるでしょう。

デメリット7: 非課税枠は翌年以降持ち越せない

つみたてNISAでは、余った非課税枠を翌年に持ち越すことはできません。例えば、2020年の投資金額が20万円で、残りの非課税枠が20万円だった場合、翌年の2021年にその20万円を持ち越して、60万円分投資するということはできません。

以上、つみたてNISAのメリット、デメリットについてご説明しました。一般の方が安定的に資産を形成していくためには、「長期、分散、積立投資」を実践していくことです。つみたてNISAは、投資の経験がなくても「長期・分散・積立投資」を有利にスタートでき、かつ、税制優遇も味方につけることができる制度です。少額から投資をすることができるので、ぜひ、トライしてみてくださいね。