米ドル/円 日足

週間予想レンジ:104.00~109.00

メインストラテジー:レンジ取引

・歴史に刻んだ激動の相場を経て、「リスクオフの円高」の終焉を証左
・米長期金利下げ過ぎ、またそれに対する反動にリンクしたドル高
・一時101円台前半までの突っ込みは「ダマシ」、底固さを露呈

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週大きく波乱が起きた。月曜原油や米長期金利の暴落で一旦101円前半をトライしたものの、その後一転して大きく切り返し、108円関門手前での大引けをもって陽線を形成した。

コロナショックで日米株をはじめ、世界株式の大暴落、また金、ビットコインなど所謂「リスク回避先」とされる資産の総崩れもあって、ドルへの一極集中がみられ、所謂「恐怖のドル買い」が発生、米ドル/円の押し上げに繋がった模様。さらに、伝統的なリスク回避先とされる円の弱さが露呈され、同役割の消失、つまり「リスクオフの円高」の終焉が確認されたところも大きかった。

もっとも、最近米ドル/円とドル全体(ドルインデックス)の連動性が高く、3月9日までドル全体の一段続落自体が行き過ぎであった。米10年国債利回りが1日50%以上も低下したのが異例中の異例なので、クライマックスを果たした疑い。従って、その後の切り返しは当然の成り行きと見なされ、ドル全体の連動的な上昇もスピード調整の一環と受け止める。

2016年11月以降、週足において、2018年3月第3週を除き、米ドル/円は105円大台以下大引けがなかった上、月足において、106円大台以上の大引けを維持してきた。

前回指摘したように、今回記録的、また世界的な恐慌があっても、週足にて105円以上の大引け自体が大きなサインと受け止める。詰まる所、米ドル/円における内部構造は、ドル高の蓋然性を証左されたから、月足の106円以上の維持を確認できれば、2015年高値を起点とした大型保ち合いの終焉やこれからの上放れに土台を作り上げる。

週足における「スパイクロー」の陽線、一時の下放れを「ダマシ」だったことを証左した場合は、これから紆余曲折でも2月高値の112円前半を再トライしよう。半面、世界金融市場の不安定や防疫事情の不透明さなど材料面の不安も大きく、一直線な上放れも容易ではなかろう。

さらに、株式市場の落ち着きがあれば、「恐怖のドル買い」の勢いも低下していくと推測されるから、ドル高が維持されてもモメンタムの減速は見られるだろう。2月高値を起点とした下落幅の0.618%の程度の反発を果たした以上、目先一旦保ち合いに転じる公算。

反面、108円関門に近い大引けがあっただけに、3月10日大陽線が示した事実上の「強気リバーサル」や3月13日の「長大線」のサインも強烈、安易な否定もなかろう。103~104円台は一転して強い支持ゾーンと化し、109~110円台の抵抗ゾーンと相まって、米ドル/円のレンジ形成にまず寄与しよう。

日米株を始め、世界金融市場における変動率の拡大がこれからも続くと思われ、米ドル/円の変動幅の拡大も引き続き警戒される。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:64.50~69.00

メインストラテジー:レンジ取引

・世界的大恐慌でまた大きく売られたが、9日安値を更新しなかったこと
・ドルへの一極集中で豪ドルの弱さが露呈、「売られ過ぎ」であっても売られた
・株式市場沈静化の兆しあり、豪ドル売り一服で自律反発のニーズが高まる

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

コロナショックで大幅下落、先週月曜(3月9日)原油や米長期金利の急落に連動する形で昨年8月安値69.95円を割り込み、2013年高値105.52円を起点とした大型下落波を更に延長させた。

先々週安値圏で大きく反乱、同日ドル/円の安値更新につられ、再度「窓」を空けたわけだが、米ドル/円と違い、その「窓」は「埋められず」、なお抵抗として意識される。

もっとも、豪ドル/米ドルやドル/円の両方から作用した結果、豪ドル/円の安値更新に繋がったが、豪ドル対ドルの下落も2011年高値から継続され、コロナショックをもって最終局面に迎える可能性もある。

すでに深刻な「オーバーシュート」、即ち「売られ過ぎ」の段階におる豪ドルの一段急落、世界的また記録的な金融市場のパニックにつられた側面が大きく、すでにクライマックスを果たした疑い。先週米ドル/円の大幅な切り返しもあって、豪ドル/円の安値再更新自体を引き続き行き過ぎたサインと見なし、ここから継続的に安値トライできるかどうかは今週の焦点であることも変わらない。

となると、3月9日の値幅が大きかった分、その後同値幅の内に限定した値動き、「インサイド」のサインを形成、これから上放れを果たす可能性が大きいだろう。換言すれば、3月9日罫線が示した「スパイクロー」のサインが有効であれば、これからも機能するはずと見られる。

もっとも、継続的な安値更新さえ回避できれば、自律反発のニーズは高まるだろう、これからリバウンドしやすい環境におるかと推測される。

この場合、2月半ばからの急落に対するスピード調整の範疇に留まる。しかし、昨年8月安値に対する更新も一時に留まり、また安値更新があっても下落モメンタムの加速を回避できるなら、大きな意味合いを持つ。結果的に、米ドル/円と同様、下放れ自体が大きな「ダマシ」となる可能性があるから、切り返しを果たした地合いの変化を期待できる。

言ってみれば、テクニカル的にも、市場センチメントから見ても、3月9日の「窓明け」で究極な「陰の極み」の状況におり、日米株の歴史的な急落があったからこそ、これからリバウンドを果たす可能性を無視できない。

原油や米長期金利価格の行き過ぎた下落がもたらした混乱、豪ドル/円に与えるインパクトが先週の値動きに留まるなら、基本的な見方は維持される。

とはいえ、今週あらゆる反発があってもスピード調整に留まり、ベアトレンドの否定に程遠いだろう。69~70円といった抵抗が厚く、一旦切り返しがあっても再度頭打ちされやすく、強くても71円半ばに留まる公算。が、底割れさえ回避できれば、大きなサインの1つと見なされ、本格的なリバウンドに土台を作る。今週も丁寧にフォローしていきたい。